117話 3-27 挫けそう‥‥

 三日間の徹夜の後、蓮司は睡眠を取る様になったが生活は依然と不規則で二人はギクシャクしたまま一週間‥蓮司は教室に顔を出す事は無かった‥‥



「おいクソマネ‥‥‥‥もう一週間だぞ‥お姫に何しやがった‥‥」


「‥‥‥何も‥アンタに関係ない‥‥」




「‥‥‥‥」



「‥お姫がいつも考えてんのはテメェの事だ‥」


「半端に側に居るんならとっとと失せろ‥」


凛はキッとケンを睨んだ


「彼氏でも無いのにマネージャーを越えた近すぎる距離感が生んだ歪みなんだったらまだ間に合うだろ‥‥‥」


「お姫の事を考えてるのは分かってるけどよ‥その距離でしかマネージャー出来ない訳じゃねぇよ‥」


「‥‥‥‥‥‥‥」


バンケンの言葉が刺さる‥バカなくせにピンポイントに正当な理屈をぶつけてくる所が余計に腹が立った‥


‥‥‥‥‥‥‥‥‥


凛はスマホを取り出して蓮司にメッセする



「今日は勉強会で遅くなります。お弁当を買って食べて下さい。」



既読は付かなかった‥‥寝ているのかもしれない





放課後


勉強会が終わると前回と同様、凛は東さんに応接室に呼ばれていた



‥‥‥‥‥‥‥


「そう‥‥まだ蓮司君と話せていないのね‥」


頷く凛の顔は先週より疲れて見えた


「‥‥‥前に東さんと話した友達とマネージャーの混同の話しが最近よく頭に浮かびます‥」


「アタシにとって蓮司は友達でマネージャー‥‥」


「それ以上でも以下でも無い‥それは蓮司にとっても同じ事‥‥」


「やっぱりアタシが一方的に心地良い距離感を蓮司に強要し過ぎていたのかもしれません‥」



「‥‥それを考えるのも勉強よ?凛ちゃん」



「適正距離ならこんなに苦しく無くて済むのでしょうか‥‥」


「‥かもね‥‥‥‥‥‥でもそれだと、あなたがどんなマネージャーで有りたかったのか見失ってるわよね?‥」







一歩踏み込んで支えられるマネージャー‥‥‥

自信を無くした今の凛は言葉に出来なかった‥







「なぜ蓮司君はアメリカに行くのを引き止めてまであなたを選んだの?」





「‥‥‥‥‥」





‥‥‥‥‥‥‥‥





凛はVisionを出るとタクシーで帰宅しながら考えた‥‥


分かってる‥話せばすぐに解決する事くらい‥‥


でも言えないの‥‥何かが変わるのが怖いのかもしれない‥‥



今まで通りETOのファンでいれたら私は私であり続けられる‥


バンケンにも言われた‥このまま一方的にこの距離で側に居たら必ずETOや蓮司の迷惑になる‥


凛の頭に浮かぶのは梨花と嬉しそうにマドレーヌを食べる蓮司の顔



嬉しかったはずなのに悲しい涙が出た‥‥









なんだか挫けそう‥‥‥

     ‥‥‥自分を見つめ直したい‥‥‥‥‥‥






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