114話 3-24 知らなかった‥

 翌日の早朝、相変わらずモヤモヤが取れない‥蓮司は凛が起きるより先にシャワーを浴び学校の支度を済ませていると、母さんが起きて来て目を丸くする


「れんくん‥おはようどうしたの?」


「‥‥おはよう‥‥僕が早起きしちゃ悪い?」


「凛ちゃんより早いなんて今日は雪でも降るの?」



蓮司の顔は不機嫌だった‥



母さんはそれに気づくとそそくさ洗面所に消えて行った‥


蓮司は久しぶりにお湯を沸かし自分でコーヒーを入れてみた‥‥


「‥‥まっず」


コーヒー1つ取っても凛の腕前は神がかっていた‥


僕って何が出来るんだよ‥‥‥

テーブルには昨日のお見合い写真が置いてある‥



「‥‥‥‥‥‥」



蓮司は写真をフローリングに投げ捨て飲みかけのコーヒーを置いたまま自室に向かう


自室のドアを開けるとちょうど凛が出てきた


「‥‥‥お、おはよう蓮司‥‥」


びっくりする凛の顔を見ないで蓮司は


「おはよ‥‥‥」


と自室に閉じこもった


蓮司の入った自室のドアを心配そうに見る凛


‥‥‥‥‥


凛が洗面所に来ると入れ替わりですみれさんが出てくる


「あら!おはよう凛ちゃん」


「おはようございます。すみれさん」


「凛ちゃん今日も可愛いわ〜」


上機嫌のすみれさん


凛は飲みかけの蓮司のマグカップと投げ捨てられた写真に気が付く‥

凛は黙って写真を食器棚の隣の書類入れに挟んだ






すみれさんの出勤を見送り学校の支度を済ませるといつも通り朝食の準備を始める凛




自室に籠る蓮司‥‥


「なんで学校行く直前に眠くなるかね‥‥‥」


蓮司はそのまま眠ってしまう




‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥



「蓮司!蓮司!遅刻しちゃう!」


凛が蓮司を起こしに来た。蓮司は凛に背を向け寝返ると


「僕、今日は保健室登校する‥‥‥」


「‥‥‥‥‥‥‥‥」




「ねぇ蓮司ってば!」




「‥‥‥」




「‥‥じゃあ勝手にして!」




凛は蓮司の部屋をバダンと強く閉めると先に学校に行ってしまった。

まだ眠気の方が勝っていた蓮司は二度寝をしてしまう






蓮司が再び目が覚めたのは10時過ぎ‥‥

リビングに出ると蓮司の弁当がテーブルに置いてあった‥


蓮司は弁当をバッグに入れると登校する‥


久しぶりのこの時間の登校だった



学校に着くとちょうど休み時間で保健室前には生徒がチラホラ歩いていた


蓮司はコソコソと保健室に入る




‥‥‥‥


誰も居ない保健室

何だか落ち着く‥自分の本質はここにあると気付いた気もして悲しくなった‥


今日はとことんヤル気が無い 



ケン‥学校来てるかな‥‥‥




‥‥‥‥


ガラッ



突然、保健室の扉が開きびっくりする蓮司

見ると入り口にはシノが居た


「おはよう江藤君!」


「お、おはようシノ‥‥」


苦笑いの蓮司


シノは蓮司の顔を覗き込み


「凛チャとケンカでもした?」




「‥‥‥‥‥‥‥」




「もうすぐだよね?江藤君!」


「‥‥‥‥何が?」





「へ?‥‥‥来週、凛チャの誕生日だよ?」





‥‥‥‥‥‥






知らなかった‥そう言えば誕生日も聞いた事無かった‥‥




蓮司はそんな事も知らないくせに勘違いをしていた自分に更に腹が立つ




「ごめん知らなかったよ‥‥」




「そっか‥‥でも江藤君がくれるプレゼントなら何でも喜ぶと思うよ凛チャ!」



キーンコーン‥‥‥




「あ‥‥行かなきゃ‥じゃあね?江藤君!」


シノは手を振って小走りに保健室を出ていった


「誕生日プレゼント‥‥」


「せめて勘違いしてない物‥‥‥無難な物でも買いに行くかな‥‥‥‥‥」



‥‥‥‥‥‥‥



そう言えは凛は今日Visionの勉強会だったな‥


蓮司は放課後一人で街に出る事にした





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本日19時にも1話更新します(⁠^⁠^⁠)





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