112話 3-22 突然のお見合い話?

 ETOはうつ伏せたまま泣きじゃくる梨花を優しく抱き起こした


『‥‥‥‥梨花?あなたは私の最初の光なの‥暗い人生で唯一照らし続けてくれた‥‥』


『りんちゃんが私の存在を生んでくれたのよ?‥私の声を、歌を好きだと言ってくれたから‥』


『母さんも言ったけどあなたが居なかったら私は居なかったかもしれない‥』



「ETOさん‥‥‥‥」



『だけど私はもうそんなに長く存在出来ないの‥‥』



「‥え?」



『‥‥ふふっ‥蓮司が成長したらもう声が出なくなるわ?』




「‥‥‥‥‥そっか‥そう言う事だったんだ‥」


男の子の成長期だと理解した梨花



『‥だからお願い‥最後までETOを‥私を見てて?』




梨花は小さく頷いた



ETOは梨花の右頬を優しく撫で


『私はこの顔も好きよ?とっても可愛い梨花‥‥』


梨花は俯き赤くなり


「き、傷だらけで可愛くないもん‥‥‥」


『あら?見て梨花‥凛の顔!可愛くなかったらあんなにヤキモチ焼かないわよ?』


凛は顔を膨らませそっぽを向いた


「もっ!可愛くて憎たらしいわ!」


「ふふっ‥‥ありがとう凛‥大好き」


ようやく梨花に素直な笑顔が戻った。








その後、梨花はカーペット座り込みETOにくっついてスマホで動画のETOの曲を聞きながらいつの間にか眠ってしまった‥





「ふふっ‥相変わらずどこでも寝るわね‥‥」


母さんはタオルケットを梨花にかけた


「とりあえずアタシと遊んでるって事は問題無いけど家がバレたら厄介よね?」


『そうね‥そのままだと梨花のご両親発狂するわ‥』


「そうなったらそうなったで何とかするわよ‥‥」


お酒が回り眠そうな声のすみれさん


「‥‥家‥‥‥もう、バレてたりしないわよね‥」


『‥‥‥なんで梨花のお母さんオフだって気付いたのかしら‥‥‥』


「もしかしたら梨花‥位置情報入ってる?」


凛はETOの動画の流れる梨花のスマホを起こさない様に取り


「借りるわよ?」


と小声で言ってスマホのアプリ一覧を開いた





「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥あった‥‥」


アプリの最終起動時間は10分前



「マズいわね‥‥‥」



その時‥







ピンポーン









インターホンがなりピリッと張り詰める室内









凛がインターホンに出る


「‥‥‥‥」


「江藤さん、宅配で〜す‥」


三人は一気に力が抜ける‥


「は、はい!お待ち下さ~い」


凛はパタパタと玄関に向かった






‥‥‥‥‥‥







『心臓に悪いわ?』


「酔いが覚めたわ‥‥‥」



荷物を受け取った凛がリビングに戻って来た



「書留?‥ママから?何かしら‥‥」


凛は包みを開けると


写真と手紙が出てきた


「‥‥‥‥‥‥これって‥」


「‥‥‥凛ちゃんお見合いでもするの?」


すみれさんは驚いて凛を見た

凛が手紙を開くとママから


「パパがうるさいの!送ったからね?」


とだけ書かれた手紙だった‥


凛は写真を開くと‥‥‥


「うげっ‥‥‥」


『知ってる人?』


「親戚よ‥‥‥ったくパパ‥‥何考えてるのかしら‥」


凛はスマホで通話を始めた





「‥‥‥‥‥‥」






「あ!ママ?‥‥‥‥‥あーごめんそっちは夜か‥」


「うん‥  届いたけど何これ‥‥写真よ!」


「‥‥え?なんで!」


‥‥‥‥‥‥‥‥


「‥‥‥‥‥‥あ!パパ?何?どう言う事?」


「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」


「‥‥‥え??‥‥‥彼氏は‥‥ ‥‥‥‥いない‥」


凛はチラッとETOを見て目を反らす


「‥‥‥ヤメて!そう言うの嫌いだから‥」


「夏休み?‥‥‥‥‥‥分かった‥‥‥うん」


「‥‥‥‥‥バイバイ」






通話を終了した凛が写真をゴミ箱に投げ入れた‥‥‥

何となくだが凛の話し声で理解出来た‥


『‥‥‥‥凛?』


「夏休みロサンゼルスに来いって‥」


『どのくらい?』


「分からない‥‥」


「‥‥‥‥仕方ないわね‥流石に夏休みは行かない理由がないわ‥‥」


すみれさんが困った様に凛の頭を撫でる



「‥‥久しぶりなんでしょ?顔くらい見せてあげたら良いんじゃないかな‥‥‥ウチみたいに関係が悪い訳じゃないんでしょ?」



梨花がゴミ箱から写真を取り出して開いた


「あら?男前じゃん!まぁ私ならパスだけど‥」


「梨花!!いつ起きたの!」


「アハハ‥今さっき‥」


『写真の方‥嫌いなの?』


「嫌いって言うか‥あんまり知らない‥‥‥」


「佳代ちゃんその人と何だって?」


「一緒に暮らせって‥‥‥‥」


『はあ?』


「パパは蓮司にお世話になり過ぎるのが申し訳ないし一人暮らしも心配だから‥写真の彼と暮らしなさいって‥‥家事とかお世話してあげれば家賃とか生活費はかからないからって‥‥‥」


会うだけ会って見なさい!では無かった事に

流石のETOも動揺してしまう‥


『マ、マネージャーは?』


「‥‥‥ここじゃ無くても出来るでしょって‥‥」


『そ‥そうだけど‥‥‥‥困るわね‥‥‥』


「アタシも流石この人と暮らして家事をする気なんてないわ‥公園に一人で住んだ方がマシ‥‥」



「仕方ないなぁ‥‥どうしてもってなら、えとくんのお世話は私にまかせて?」



凛は素早く梨花のホッペを摘んだ


「あぅ‥‥‥‥」






「もしかしたら佳代ちゃんお父さんにETOの事ちゃんと話して無いんじゃないかしら?」


「え?」


「黙ってるから安心してね?ってロスに行っちゃったから‥」




「‥‥‥‥‥‥‥‥」








「‥それにしても妙よね‥‥‥私が後から佳代ちゃんに電話してみようね?」



「すみれさんお願いします〜〜!」






必死に母さんにしがみつく凛が可愛らしかった





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