109話 3-19 凛の父
♫〜〜〜〜‥‥‥‥‥‥
突然、梨花の荷物からETOのメロディーが流れ出す
「あ!‥‥‥‥私のスマホ‥‥」
梨花はスマホを取り出すと画面を覗き、ため息を付いた
「ごめん‥ちょっと電話‥」
そう言ってリビングから出て着信に出た
「‥はい‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
その姿を心配そうに見ている二人
「まともに休めて無いわよね‥‥‥」
『そうね‥‥』
‥‥‥‥‥
「アタシお昼の支度始めるね?」
そう言うとキッチンに行き冷蔵庫を開けた
「あ!すみれさん梨花ちゃんの好きな物って分かります?」
「そうね‥‥‥昔は麺類ばかり二人共食べてたわ?ま、簡単に出来るってのもあったけどね~」
すみれさんもキッチンに来て二人で冷蔵庫を覗き込む‥‥
「‥‥‥パスタでも良いかしら‥」
「そうね‥凛ちゃんにお任せするわ‥」
そう言うとすみれさんは冷蔵庫の奥から缶ビールを取り出し嬉しそうにテーブルに戻る
‥‥‥‥‥‥‥‥
しばらくすると困った暗い顔で梨花が戻る
「お母さんにバレちゃった‥」
『え?』
着信の相手は母親だった‥
「‥ごめんなさい‥どこで誰と遊んでるのか言いなさいって今、保留中‥‥」
「おばさん話せるわよ?」
『いいえ!私が変わるわ?』
ETOの表情が険しくなる
「待って!!」
凛がキッチンから飛び出して梨花からスマホを取り上げた
驚く三人
凛は口元に人差し指を一本指を立て音を出さない様みんなに指示を出し保留を解除するとスピーカーにした
「‥‥‥‥‥‥‥もしもし!お電話変わりました!」
「もしもし?どちら様?」
「初めまして!梨花ちゃんの友人の上田と申します!」
「上田さんね?申し訳無いんだけどお家の住所と電話番号頂いても良いかしら?」
「‥‥‥‥‥何故でしょう?」
「お分かりでしょう?梨花は芸能人なの!今は忙しくて大切な時期だから遊んでる訳にも行かないのよ」
「オフと聞いていますが?」
「いいえ?今日はレッスンと聞いてるわ?」
「では、おば様はレッスン中にも梨花ちゃんと連絡を?それこそお邪魔では?」
ケンカ腰になって来た凛の肩を軽く叩き落ち着く様に促すETO
「話しにならないわね!お母さんかお父さんいらっしゃる?」
「両親はアメリカ赴任中です。家には私一人ですが‥‥」
「‥‥‥‥‥不良の言い訳ね!ウソが酷いわ‥‥‥」
「‥‥上田将吾‥」
「父の名前です。ヤスザキ製薬のロサンゼルス開発部門の役員です。調べればすぐに出てきますが?」
「‥‥‥‥‥‥‥ヤスザキ?」
「はい‥デイステの曲でコマーシャルを打ってるスポンサーのハズなのでご存知ですよね?」
「‥‥‥‥‥‥‥あの‥」
「夕方にはタクシーで家までお送りします‥何か問題ありますでしょうか?」
「‥‥‥‥分かりました。ではウチの梨花がお世話になります。」
「はい‥ 大変失礼な態度を取ってしまいすみませんでした‥」
「では失礼します」
‥‥‥‥‥
凛は通話を終了するとグッタリとソファーになだれ込む
「‥‥‥‥‥‥‥‥疲れた〜〜〜〜〜‥」
『‥‥‥‥凛?今の話しって‥‥‥‥』
「本当の事よ?」
知らなかった‥‥‥ヤスザキ製薬と言えば誰でも知ってる大企業‥そこがスポンサーだと分かっていたからこその強気の物言いだった
「アハハ‥芸能人を盾に話して来るって予想出来たからね?」
「あ!梨花ちゃんごめん!はいスマホ!」
びっくりして固まっている梨花にスマホを返した。
「‥これで多分いつでもアタシとは遊べるわ?」
凛が無理に梨花の電話に出たのは蓮司やすみれさんに通話を替わる事で更に親から梨花への監視が厳しくなるのを危惧したからだ‥‥
凛はニッコリと梨花に笑いかけた
「佳代ちゃんに聞いてたけどホント有名企業って名前だけでも役に経つわね‥‥‥」
「あ!すみれさんはママから聞いてたんだ‥」
急に父の会社を自慢してしまったみたいな恥ずかしさがこみ上げてくる凛だった。
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