107話 3-17 両手に花?
部屋いっぱいのマドレーヌの甘い香り、蓮司も笑顔になる
「僕も久しぶりだ‥‥」
凛はすみれさんから聞いていた‥‥
あの事故の後から蓮司はマドレーヌを焼いても半分しか食べなくなった‥
何も言わなかったがもう半分は梨花ちゃんに残していたのだろうと‥‥
蓮司は凛に
「食べて良い?」
「うん!」
マドレーヌを梨花に手渡した。
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
三人は嬉しそうに梨花の食べる所を見ていた
「‥変わってない‥‥美味し‥‥‥グスッ‥泣きそう‥‥‥」
梨花の食べる姿はみんなの涙を誘った‥‥‥
蓮司もマドレーヌを取ると頬張る
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥うん‥美味しいね」
凛は二人並んで食べる姿に涙腺崩壊で母さんに撫でられていた‥
「梨花ちゃん?またいつでも食べにおいでね?‥‥‥おばさん待ってるから‥‥」
「‥‥‥うん‥」
梨花はニッコリ頷いた。
みんなでマドレーヌを堪能し一段落して凛と梨花は蓮司を挟みソファーでくつろぐ。
「‥‥‥‥あら両手に花ね!我が息子ながら鼻が高いわ?」
「思ってたけど意識しないようにしてるんだから言わないで‥‥」
蓮司は恥ずかしそうに俯くと二人に笑われた
「‥‥でも真ん中も花よ?‥‥‥‥ねぇETO?」
『‥‥‥えぇそうね‥今は私の方が気にならないわ‥』
「‥‥‥‥‥‥‥」
梨花は目を丸くしてETOを見ていた
「‥‥あ!そっか‥梨花ちゃんはETOモード初めてだった?」
『そうね‥梨花は蓮司しか知らないわ‥』
『初めましてってのは変かしら?』
ETOの笑顔にぎこちなくなる梨花
「は‥初めまして‥梨花です‥‥ETOさんの曲全部大好きです‥」
ETOは梨花の手を取り
『ありがとう梨花ちゃん‥‥私もデイステの曲、全部覚えたわ?』
「‥‥‥!!いぇ!そんな‥恐れ多いです!」
‥‥‥‥‥まぁそんな反応になるよね‥‥
凛はクスクスと笑う
「ETO?着替えよっか!」
『良いわよこれで!蓮司に戻れないわ?』
「せっかく服、買ったのに着ないの?」
『‥‥それもそうね‥‥‥梨花?ちょっと待ってて?』
ETOは凛と自室に入って行った
しばらくすると嬉しそうに凛だけ出てきて梨花の隣に座る。
「人が変わるでしょ?蓮司」
「‥‥‥‥うん‥驚いた‥ちゃんとETOさんとして実在するのね」
ETOが着替えて降りて来た
『凛?どう?変じゃ無いかしら?』
「うん!良い感じよ?」
「ETOさん素敵!」
『ありがとう梨花‥』
薄い緑のシャツに花柄のスカート
ちょっと大人に見える服装にすみれさんも
「あら素敵!今度私も借りちゃおうかしら!」
『うん‥母さんも似合うと思うわ?』
「‥ホント‥私の若い頃そっくり‥」
「すみれおばさんも全然変わらないよね‥‥若いです!‥‥ウチの母とは大違いで羨ましい」
「あら、綾子さんも綺麗だったじゃない?」
「‥‥アハハ‥‥何年経ったと思ってるの!…ウチのお母さんはもう恥ずかしくて見せられないです‥」
「そんなに?」
「‥‥アイドルになった私にあれこれ構い過ぎて自分の事は疎かになってしまって‥‥」
‥‥‥‥‥
「そっか‥‥‥ウチにETOが居るからかマヒしちゃうけど梨花ちゃんも国民的アイドルよね‥‥」
『‥‥凛!』
「‥‥あ!ごめん‥‥‥梨花ちゃんがETOより劣ってるとかって事じゃなくて‥‥‥」
「ううん!良いの!大丈夫!‥‥‥私だって憧れで目標でもあるから‥‥‥」
梨花はETOに見惚れていた
目の前にはMVで何百回と見た憧れて憧れた本物のETO‥現れるだけで場の空気を一瞬で変える本物のカリスマ、梨花はETOこそが国民的アイドルだと思った
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