96話 3-6 そして初めてのプレゼント

 三人は駅ビルの向かいのターミナルに来ていた。最上階が丸々1フロアゲームセンターになっている


ケンは凛とETOを先に行かせ一階のコインロッカーに荷物を預けて来るみたいだ


最上階のゲームセンターに着くと学校帰りの学生で賑わっていた。


ETOは目を輝かせクレーンゲームのコーナーを見て周る


『見て!凛!‥‥‥‥‥‥お醤油が景品だって!賞味期限大丈夫かしら‥‥』



『こっちはお味噌!』



『買い物帰りの主婦に優しいコーナーね!』


‥‥‥‥


「‥‥‥‥そうね‥‥ 一回で取れればだけど‥」


凛は遠い目で景品を見る



『‥‥‥‥‥‥‥』



「どうしたの?ETO」



『‥私これ欲しい‥‥』



見るとデズニーの有名キャラクターのメッキーのキーホルダーだった。


プラスチックだがクリスタルを模した物で少し高級感がある


「やってみる?」


『やった事無いの‥‥やり方が分からないけど大丈夫かしら‥』


凛は小銭を出し100円を投入した。


「1プレイ100円なの!見本を見せるから次やってみて?」


『分かったわ!』


凛はレバーを器用に動かしメッキーを掴むもクレーンの力が弱く落ちてしまう‥


「やっぱダメね〜‥」


『軟弱クレーンだわね!良いわ!私がやる!』


「あんまりムキになっちゃダメよ?」


凛は500円玉を投入し


「これで6回出来るわ?」


『6回?‥‥‥‥お得ね!取れる気がしてきたわ!』


ETOは慎重にクレーンを動かし、凛がやった時とほぼ同じ場所で止まった‥


しかしクレーンはキーホルダーを持ち上げ景品口に持って来た。



「え!ウソ!さっきと力違うじゃん!」



キーホルダーは普通に取れてしまった。



‥‥‥‥‥




ETOも取れるとは思って無かったらしく戸惑っている‥


『凛?これ取っても大丈夫なの?』


取り出し口を指差すETO



「う、うんETOのキーホルダーよ?」


『やった!』


ETOは嬉しそうにキーホルダーを取り出し別のコーナーを見に行く‥


「ちょっとETO!後5プレイ残ってる!」


『‥‥‥‥‥?あ!そうだったわ!』


しかし最後の景品だったらしく何も残っていない‥


凛は通りかかった店員を呼び止め事情を説明すると景品を補充してくれた。


『凛‥‥メニーちゃんとロナルドがあるわ!』


ETOの目の色が変わる



「‥‥‥‥‥‥」




こうやって鴨が生まれるのね‥‥‥




結局三千円近くを投資し三種をGETしたETOは満足そうだったがネットで三種五百円で売っている事は黙っておくわ‥‥‥



そうしている内にケンが荷物を預けて合流した


「わりぃ‥遅くなった!」


「あら、もう帰っても良いわよ?」


「んだとクソマネ!」


『‥‥‥‥‥‥二人共‥』



「「‥‥‥‥‥‥」」


ETOの一言で静かになる




『はい!これ!』


ETOはクレーンゲームで取れたメニーちゃんを凛に、ロナルドをケンに渡した。


「これ‥ ETO欲しかったヤツじゃないの?」



『みんなで同じのが良かったのよ‥‥』


『ネットで売ってるかも知れないけど‥』


『初めてやったクレーンゲームの思い出はみんなと一緒にって思ってね‥』


ETOはニッコリ笑うと凛の顔が嬉しさと感激でパァっと満面の笑顔になった


「一生大切にする!」



「俺も肌身離さねぇ‥‥‥」


ケンも嬉しそうにキーホルダーを見ていた





前言撤回‥‥‥‥


ETOの取ってくれた初めてのキーホルダーはネットでは絶対に売って無い‥換えの効かない値段の付けられない気持ちの籠もったキーホルダーだった‥‥



『喜んで貰えて嬉しいわ‥‥‥』






三人のキーホルダーがキラキラ光る











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る