95話 3-5 初めての街歩き
ニッコリと二人を見て微笑むETO
「あわわ‥‥ちょっと落ち着いて?ね?」
『平気よ?誰も見てないわ?』
そう言うと店員さんの所に行き少し話しをして紙袋を貰って来た。
蓮司は制服や靴下を紙袋にしまうとバッグと一緒に強くケンに押し付けた
『持って?』
「お‥‥‥‥おぅ‥」
ETOは満足そうに支払いを済ませた。
店員さんは別人の様な美女の蓮司をマジマジと見ている。
『ケン?これも持って貰える?』
「わ、分かった‥‥‥‥」
両手いっぱいの紙袋のケンを嬉しそうにみるETO
店員は大きな金額を一括でカードで払う高校生を見ながら何かに気付いた。
「あ!‥‥‥‥‥えっ?」
ETOは笑顔で
『ありがとうございました』
と圧を掛ける雰囲気で言い放つと凛の手を引いて
『行こっ!遊びに!』
凛は追いつかない思考でETOに引っ張られ外に出た。
店員さんも慌てて外に付いて来て
「あ、ありがとうございました」
三人を送り出してくれた店員さんの顔色からは蓮司が男だと気付いたのかETOだと気付いたのかは分からない‥‥
ETOは買ったばかりの麦わら帽子を被りケンに
『私、ゲームセンター行きたい!』
『良いわよね?凛』
「よし!デカいゲーセン行くか!」
ケンもテンションが上がる
「ちょっと!目立っちゃダ‥‥‥‥‥」
『‥‥‥‥‥‥何?‥凛』
ニッコリと笑うETOに、たじろぐ凛‥‥‥本来なら止めなければならない立場だが嫌がる蓮司を女性物の服で着せ替え遊びをして怒らせた手前ダメとハッキリ言えない
それを分かっていたETOは凛に向かってニヤリと笑い
『大丈夫よ?私には有能なマネージャーとボディーガードが付いてるんですもの!』
仕返しと言いたげなETO
「くっ‥‥」
「‥‥‥‥‥‥‥1時間‥いや30分よ!それ以上はダメよ!!分かった?ETO?」
ETOはパァっと笑顔で凛に抱きつく
『分かったわ!ありがとう凛!』
こんな可愛いETOに喜ばれると30分と言わず1日中一緒に遊び回りたい気持ちになった‥
周りの視線を気にせず街中を堂々と歩くETOはやはり美しい女性だった、ETOは凛を振り返ると
『一度で良いからこんな風に街中を歩いてみたかったの‥‥‥‥‥‥』
『ほら、蓮司だって歩く時目立ちたがらないでしょ?‥‥私なら平気!』
「‥‥‥‥‥いつも堂々としてる凛やケンの視界ってこんな風なんだね!」
一瞬出てきた嬉しそうな蓮司‥に凛はハッとなる
そうだった‥‥‥‥‥
蓮司もETOも同じ歳、みんなと同じように遊びたいに決まってる‥
塞ぎ込んで来た過去からようやく開放された蓮司‥そして今しかない高校生を‥‥‥
今しか居ないETOを‥‥‥‥‥‥
何より二人に今を楽しませたい‥‥
守るマネージャーという仕事で忘れていた気持ちを思い出した‥
バシッ
凛はケンに肩パンした
「って!!何だ急に!」
「アタシのバッグも持って!」
「はぁ?」
ダルそうなケン
「ゲーセンの案内は任せたわ!!ETOを楽しませなかったら承知しない!」
「‥‥‥‥‥お‥ おぅ」
凛はケンにバッグを渡すと嬉しそうにETOに駆け寄る
少し前を歩くETOが帽子を押さえながら振り返りニコッと笑うのを見ているケンは
「‥‥あれは男だ‥ 男‥‥‥」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます