93話 3-3 お給料日
「凛!ちょっと待って!」
蓮司は後ろから凛の被ったポーチをふわりと取ると、凛は両手で顔を隠したままだった‥
「凛?話の流れしか分からなかったけど事故だったんでしょ?」
凛は黙って頷く
「誰も見てないし気づいて無いって」
‥‥‥‥‥‥‥
「かもだったのに意地になって大声で言っちゃったし‥‥」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
『ねぇ凛?今日お買い物行かない?』
突然のETOに驚いて振り向く
『私、服が欲しいの‥リンちゃんと遊ぶのに新しいのが欲しいなぁって‥』
ETOはニッと笑顔で凛を見ると
『今日、お給料日でしょ?』
凛の目はみるみる輝く
そう、今日は凛が正式にマネージャーになって初の給料日、東さんがVisionの経理を通して出して貰った給料明細通り雇用主の蓮司から振り込まれる形になっている。
「アタシも服欲しい!」
「うん!放課後に街に出よ?」
すっかり元気になった凛を連れて教室に戻った
放課後
「蓮司はどんな服が欲しいの?」
「う〜ん‥普段ネットでしか服を買わないから行ってみたいな〜って‥具体的には決めて無いんだ‥それにせっかくだから選んで貰おうかな」
「うん!分かった!楽しみだね!」
嬉しそうにスキップする凛に後ろから
「お姫は男だからな?女もん買わすなよ?」
そう言われた凛が不機嫌そうに振り向き
「何でアンタまで付いてくるのよ!」
「俺も服が欲しいんだよ!お姫の服だってビシッと決めなきゃなんねぇしな!」
「‥‥‥‥‥‥ゴツいのは蓮司に合わないと思うわ?可愛らしい服が良いわよね?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
と言いつつ凛はビシッっと決まった蓮司を想像するとちゃんとカッコ良さそうでまんざらでもない表情が顔に出てしまう。
ケンは思った、お姫はお姫!似合うのを選べば良い‥と言いつつ可愛らしい格好で笑顔の蓮司を想像して顔が熱くなるのを感じた。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「二人共変な事考えてない?」
頬を膨らまし睨む蓮司に焦る二人
「い、いやどんな服が良いか考えてただけよ?」
「そ‥そうだ!どうせなら似合うやつが良いだろ?」
「そうだけど‥‥ホントに?変なのにしないよね?」
「「しないって!」」
三人は久しぶりに都心の駅ビルに来ていた
「ここで良いんじゃないかしら‥」
「そうだな‥俺は普段こんな所じゃ買わねぇが、お姫の服ならアリだ!」
蓮司は嬉しそうに入り口から店内を覗いていた。
「ねぇ、入って良い?」
入り口にあるマネキンのロングTシャツの袖を軽く触りながらコーディネートを興味深く眺める。
「うん!Tシャツは奥の棚にあるわよ?」
蓮司は少しソワソワしながら一人奥に入って行く
後に続く凛はケンに向かって
「分かってるわね?蓮司に合うカッコよさよ?」
「テメェこそだ‥蓮司は男だが念の為にETO用の服が有っても良いだろ‥‥」
「「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」」
同時に奥で目移りしている蓮司を見つめ一瞬ニヤける‥
初めて二人に共通の使命感が生まれた。
そしてメンズとレディースに分かれ服を探しに店内に消えて行く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます