71話 2-35 凛とケン

蓮司が行きそうな場所‥‥‥保健室‥‥‥いや違う‥


走って階段を降りようとした時、


ブーッブーッブーッ


蓮司のバッグからスマホの音が鳴る。

凛は慌ててバッグからスマホを出すと相手はケンだった。


すぐに電話に出る凛


「お姫!やっと繋がったか!」


「バンケン!」


「‥‥‥‥‥‥‥んぁ?‥‥‥マネか?」


「アンタ!どこで何してんの!!」


「あぁ?‥‥屋上で寝てるっつったろ?」


「‥‥‥‥まぁ‥ なんだ‥‥‥ 寝てたら鍵掛けられちまって入れなくなってるけど‥‥‥‥ 迎えに来てくれ‥‥」






「‥‥‥‥‥‥‥‥バカーーーーー!!!」



凛は屋上の鍵を開けに向かった。






〜体育倉庫



蓮司は体育のマットレスを立てかけて掃き掃除をしていた。


キィ‥‥‥‥‥‥


扉の音に気がつく


「江藤くん、ごめんなさいね?こんなに遅くまで掃除に付き合わせてしまって‥‥」


「‥‥いえ、僕が手伝いを申し出たんだし、森永さんこそ毎日これをやってきて大変だったんだなって思ってました‥‥‥」



カチャリ‥‥‥‥


小さく鍵の閉まる音がした。



掃き掃除も終わり、マットレス元の位置に直す蓮司に森永さんが‥‥‥


「相変わらず優しいのね、江藤くん‥‥‥」


「??」


「昔からそう‥‥‥‥」


「えと‥‥‥あ‥あれ?森永さん?ってどこかでお会いしてました?」


「覚えてないわよね‥‥‥ずっと同じ学校だったのに‥‥‥‥」


蓮司はハッとなり、気まずそうに頭を掻いて


「そうですか‥‥僕を知ってたんですね‥僕は教室にあまり行って無かったんで森永さん以外の人も覚えてませんよ‥‥すみません」


「そう‥‥‥でも、これなら思い出せるかしら?」


森永さんはメガネを外して一つ結びのゴムを外して髪を下ろした。






〜屋上




ガチャ‥‥‥ 



鍵が開けられた瞬間、凛の肩パンが、ケンを襲う。


バシッ!!


「がっ‥‥‥‥お‥‥お前マジなヤツだろ‥これ‥‥‥‥」


「アンタがこんな間抜けな状態の間に蓮司が行方不明なの!反省して!」


「な‥‥‥」


凛の表情が深刻さを物語る‥





「お姫がどこに行ったか検討つかね〜のかよ!」


二人で急いで階段を降りながら話す。


「たぶん校内にいるのは確かよ」


「しゃ〜ない、片っ端から教室を覗いて行くか?」


「まだ残ってる先生もいるわ‥‥見つかれば帰されるか、大騒ぎされて蓮司が学校に来れなくなる。」


「とりあえず絞れれば探しやすいんだけどな‥‥‥」


「‥‥‥‥‥‥‥‥‥靴が無いの‥」


「‥‥‥‥外にいんのか?」


「分からない‥」


「体育館とか部室‥‥‥分かれて探すか‥‥‥」


「そうね‥アタシは部室、アンタは体育館を探して‥」


「‥‥‥‥‥‥‥‥お前‥‥なんかあったのか?」


凛は急に立ち止まり悔しそうに下を向き両手を握り力が入る。




「‥‥‥‥‥‥シノがこの件に絡んでるっぽいの」





「‥‥‥‥‥は??意味わかんね‥‥なんでお姫を拉致るんだよ‥‥そんなタイプじゃなくね?」



「‥‥‥‥アタシのせい」


「分かってんだったら呼び出して吐かせりゃいいだろ」


「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」



「‥‥‥‥ったく!テメェのせいじゃ無くて距離感のせいだろ‥相手の勘違いを勝手に自分のせいにすんじゃねぇよ!ウジウジ足手まといになるならお姫から手を引け!後は引き受ける!」


「は?アタシはウジウジなんてしてない!周りが見えないくらいずっと蓮司の事だけなの!アンタに任せるくらいならこの場でアンタを消してやるわ!」


「それでこそテメェだろ!さっさと行くぞ!くそマネ!暗くなったらめんどくせぇ!」

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