70話 2-34 蓮司は何処?

 連絡の付かないスマホを眺めながら凛はシノと下校していた。


果たして凛と待ち合わせしていた蓮司がなんの連絡も無くバンケンと帰るだろうか?


確かに蓮司は子供じゃ無いので一人で帰る事も出来る。


バンケンだって普段は歪み合うが凛が嫌がる事は蓮司が怒るので連絡無しに連れ帰る事はしないはず‥‥‥‥‥


というか、こそこそする理由もないし‥ずっと正門の前に居て気付かないのもおかしい、気付かないなら体育館側から裏門に抜けるルート‥


??‥‥‥だったら先に正門で声をかける


まだ学校にいる?





「‥‥‥‥凛チャ」


「‥え?何?シノ‥‥」


「そんなに江藤君が心配?」




「不思議なんだけど‥‥‥‥付き合って無いならそこまで心配する必要ある?」


「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」



「昔は凛チャいつも私と居てくれたよね?」


「いつでも何をする時も‥‥高校だって偏差値の低いこの学校を選んだのは凛チャがいたから‥‥‥」


「なのに‥今は凛チャが遠くに感じる‥‥‥」



「凛チャはいつも前向きに私を引っ張ってくれて後ろ向きで引っ込み思案な私の憧れでヒーローだった‥」




「アハハ‥‥シノはそんな風に考えなくてもみんなに好かれる良い子じゃん!大丈夫だよ!」


「いやよ‥‥‥‥私は凛チャが良いの‥‥」


「シノ?」


「どうしたらまた昔みたいに私を向いてくれる?」


「ちょっとシノ?そんな事無いって!アタシ達は友達じゃん!」


「じゃあ江藤君は?同じ友達?ホントにそうだって言える?」


「‥‥‥‥‥‥‥っ」


「ずっと江藤君の場所は私だった‥私の方が江藤君よりずっと凛チャを見てきた‥」


「こっちを見てよ凛チャ‥‥‥‥‥」


シノは涙を流していた。


凛はスマホをチラッと確認しポケットからハンカチを出してシノに渡したがシノはそれを叩いた。


「痛っ‥‥‥‥‥‥」



「今だって江藤君だったじゃん!!」




「なんでよ!江藤君が居るから見てくれないなら江藤君なんて居なくなればいい!!!」




凛はその言葉にシノをキッっと睨みつけ


「シノ‥あなたまさか蓮司が何処にいるのか知ってる?」


シノは目を反らし


「知らない‥‥‥」


凛はシノの両肩を掴み目を見て強く


「シノ!蓮司はどこ!!」


「いや‥‥‥‥‥」


俯き、しがみつくシノを突き放し凛は走って学校へ戻って行った。


「待って!!凛チャ!!」



一方その頃ケンは


「‥‥‥‥‥‥‥‥寝すぎたか?」


屋上の鍵を内側から閉められ閉じ込められていた。



「ハァ‥‥‥‥‥ ハァ‥‥‥‥‥」


凛は全力で学校に戻りながらスマホを見る

‥‥‥も!‥‥バンケンの連絡先知らないし!!


凛は蓮司がバンケンと帰ってて欲しいと願うも、既についえている事を知らない。




学校に着くと既に生徒玄関の鍵は閉められていた。

凛は正面玄関に回り靴のまま三階まで走る

教室に着くと蓮司のバッグはそのまま机に掛けてあった。


「蓮司‥‥‥‥ 何処行っちゃったの‥‥‥」


凛は蓮司のバッグを抱え教室を出る

良い知れぬ胸騒ぎがした。



早く蓮司を探さなきゃ!




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