68話 2-32 嫌な予感
教室に入るといつものように騒がしかったクラスが一気にピリッとした雰囲気で静まり返る。蓮司は平気だがケンが登校するとクラスは以前として萎縮し、しばらくすると雰囲気が戻ると言った感じだ。
時々凛とケンが言い合う為、蓮司に止めに入ってくれと言う皆の目線が痛い時がたまにある‥
蓮司は席に着き教科書や文具を机にしまう。
??蓮司の机の中に見慣れない黒い封筒‥‥
何だろうな‥‥‥
蓮司が中を確認すると
「痛っ!!」
封筒が机の上にヒラリと落ちその上に鮮血がパタッ‥‥‥パタッ‥‥‥‥
と落ちた。
「「蓮司!!!」」
二人の大きな声がクラス中に響き渡る。
ケンは蓮司を脇に抱え、引きつった顔で固まる凛に
「マネ!(マネージャー)保健室だ!先に行って薬準備しろ!」
「は‥‥‥ゎ‥分かった!」
凛は物凄い速さで教室を飛び出す。
ケンも後を追う様に蓮司を抱え走り出す。
保健室に着くと泣きそうな顔の凛が保健の久保先生に処置の準備を急がせる。
走り込んできたケンが先生の前の椅子に優しく座らせた。
先生は真剣な顔で蓮司を手当てしていた。
それを心配そうに覗き込むケンと凛。
「先生‥!‥‥お姫は大丈夫なのか?」
と真剣に訪ねるケンの隣で涙目の凛が真剣に先生の目を見る。
「‥‥‥‥‥‥‥切り傷です。」
正面で真っ直ぐに言われた蓮司は恥ずかしくてりんごのように真っ赤のまま俯く‥‥‥‥
「因みに先生も昨日指を切りました‥」
先生は自分の人差し指に巻かれた絆創膏を二人に見せた。
「先生!そんな事はどうでもいいの!蓮司は!病院に行かなくて大丈夫なんですか?」
「血なら俺のを使ってくれ!」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「昨日、私も指を‥‥‥‥‥‥」
食い気味にケンが
「先生!それどうでもいいって!れん‥‥‥」
「いい加減にして!!!」
蓮司の大声にビックリする二人。
「切り傷って大丈夫だから‥‥‥‥」
「縫ったりしなくて良いのか?」
「深いと神経とか切れちゃったり‥‥‥」
「‥‥‥‥無いし、ちょっと痛いだけだから‥‥恥ずかしいから止めて!マジで‥」
この後聞くと、凛はケガや病気がほぼ無く血液を見る耐性が極端に低い事、ケンは喧嘩が強すぎて割と軽く人が病院送りになると思っていて流血イコール病院という思考回路で動いていた。
それが今回、蓮司であった為二人ともパニックになったのだ。
しかし、イタズラでは済まされない。蓮司に送られた封筒はカッターの刃が一枚だけ入っていた。
先生は警察に届けるかを蓮司に聞いて来たが、今回のケガは蓮司が知らずにカッターを触ってしまった事故で誰かに傷つけられた訳でわないということで大事にはしないで欲しいと頼んだ。
すっかり忘れていた‥‥‥
僕はこうしてイジメられていた事を‥‥‥‥
何も変わらない‥‥指の痛みより、心が痛かった‥‥
昼休み
いつも通り三人で居る所に珍しく森永さんがやってきて。
「江藤君、今日から放課後に掃除当番だけど一緒に大丈夫かしら?」
「‥‥‥‥あ‥ はい‥‥」
保健室登校の時は特別扱いだった蓮司だが今はみんなで同じ様に授業を受けている。みんなが順番でやっている掃除当番だけを免除される理由は無い。
「お姫!帰っちまえ!」
「またアンタは!!蓮司?終わるまで待ってるからね?」
放課後は森永さんと初めての掃除当番になった。
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