60話 2-24 失言
上田家で食事を終え、時間も21時を回っていた。メイクを落とし凛の私服を借りた蓮司は自分の服を紙袋で持ち帰る事にした。
『こんな時間まで長居させて頂き申し訳ありませんでした』
「あら〜‥今日は泊まって行けば良いのに〜‥」
と、残念そうにETOに腕を絡ませ逃さないと言いたげな凛の母
ETOは苦笑いで
『いえ‥明日もありますしこれ以上ご迷惑かける訳にはいきませんので‥』
「そうよママ!明日学校だってあるんだから無理させないで!」
「ETO!タクシー呼んだからエントランスまで送るわ!」鍵を握った凛が母から引き剥がすようにETOの背中を押す。
「あ!」
突然の母の声。
「なに?ママ、ビックリした‥」
「ごめん、凛ちゃん‥‥‥ロスに連れて行く予定で、今日この家、解約しちゃって住めるの今月いっぱいだったわ‥‥‥」
‥‥‥‥‥‥‥‥‥
「はぁ?‥‥‥アタシどうすんの!」
「待って!明日物件見に行って来るわ‥‥」
スマホで予定を確認する
「あ~でも予定が全部詰まっちゃってる‥‥」
「‥‥‥‥‥‥‥」
『あの‥‥‥ でしたら私の家に来て貰ってもいいですか?』
「‥‥え? ‥‥‥いいの?」
『元はと言えば私のせいでこうなってしまったのに‥‥‥それに、毎日来て貰ってるなら一緒に住んだ方が凛も楽でしょ?ウチの母も喜ぶわ』
「え‥‥‥っと迷惑じゃない?」
『いいえ?いつも来てくれて感謝してるくらいよ?』
モジモジする凛
「ETOちゃん、ご迷惑かけるかもしれないけどお母さんにお願いしてみる事出来るかしら‥ちょうど荷造りも出来ちゃってるし家が見つかるまで少しの間だけでもいいから‥‥」
『私はいつまで居て貰っても構いませんが‥‥』
凛は真っ赤になっている。
「凛ちゃん何照れてるの?女の子同士楽しそうじゃない!ETOちゃんと一緒にお風呂入ったり抱き枕にして寝たり!羨ましいわ?」
「え?‥‥て‥照れてな‥‥‥はぇ?‥‥‥‥おふ‥
抱き‥」
ダメだ‥‥‥凛の頭から煙が出そうなくらい赤くなっている。
『あ!凛!タクシー!!待たせてるわ!』
凛は時間を見ると慌てて
「ヤバっ!!急いで蓮司!」
「うん!」
慌てて先に出てエレベーターを押しに行く凛
『‥‥‥お母様‥お邪魔しました。おやすみなさい。』
ETOは丁寧にお辞儀をすると凛の母も
「おやすみETOちゃん」
とニッコリ返すとETOがエレベーターに乗るのを見送った。
‥‥‥‥‥‥‥‥
「相変わらず混乱したりテンパっちゃうとボロ出すわね‥‥‥‥大丈夫かしら‥‥」
「‥‥普通は信じないわよ‥ あんなに徹底した契約が無ければね ‥‥‥‥」
「蓮司君‥‥か」
母はテンパった凛の失言を聞き逃さなかった‥
困った顔で軽く腕組みをして扉にもたれ掛かる母だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます