47話 2-11 男子の魔の手?

 昼休み

今日も蓮司と凛の周りには女子がキャアキャアと集まっていた。凛にはETOが出ると面倒くさいので極力黙っているように釘を差されている。


愛想笑いのしすぎで頬の筋肉がピキピキ痛む。

一旦この場を逃げ出したい‥‥トイレにでも逃げ込むか‥‥‥

蓮司は隙を付くように教室を出るが凛もニコニコ付いて来た。


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥


廊下でも注目を浴びるが、そんなに人が多い訳でも無いので歩き易くはあった。

蓮司はトイレの前で立ち止まりクルッと振り返り


「あの‥‥‥凛さん?」


「ん?」


「男子トイレです‥‥‥‥‥‥STAY!」



突然、

凛は蓮司の腕を掴んですごい速さで階段へグイグイ引っ張る。


「ちょっ‥‥‥‥‥凛!トイレ!」


階段の踊り場で凛は蓮司を横目で見ながら


「蓮司‥‥後ろ‥‥‥‥‥‥」


蓮司はチラッと振り返ると入るハズだった男子トイレの前には数人の男子が集まっていてその後ろから更に数人トイレに駆け寄る。


凛に連れられ階段を降りながら


「その見た目でトイレに行けばどうなるかナンパされた事ある蓮司なら分かるよね?」


「因みに朝からアタシ達の下駄箱に入ってて捨てた計5通のラブレター、全部、差出人は男だから!」


蓮司は一気に全身鳥肌が立ち変な汗が出たのが分かった‥‥


「今日、朝から学年主任の先生に生徒は使用禁止の職員用トイレの利用を許可取ってあるから今後はそっちを使ってね?」


朝から職員室に行ってた事も理解した‥


凛は職員用トイレの前で掴んでいた腕を離し


「待ってる」


と手をヒラヒラさせた。

トイレに入り改めて凛のマネージャーとしての必要性を痛感した。




学校が終わり帰宅した二人。

昨日同様の疲労感が襲う。蓮司はグッタリと身を任せたままの体勢でソファーになだれ込む。


「学校ってこんなにキツかったっけ?」


「アタシは精神的にキてるわ‥‥‥」


首をゆっくりと回しマッサージしながら隣に座る凛。


「ピリピリ感は状況と環境に慣れるまでの辛抱だよね‥」


「慣れるの?これ‥‥‥」


「アタシは入学時に同じ様な経験して慣れたからね‥二度目だわ‥‥‥」


「‥‥‥‥‥ご苦労さまです。」


「‥‥‥‥‥‥‥」


チョンチョン‥‥‥

凛が蓮司の肩をつつく。


分かってる‥‥‥‥が、今回は仕方ない‥凛に助けられた借りがある


『凛‥‥お疲れ様。今日はとっても助かったわ!』


悩殺笑顔のETO。


「キャーーーーETOちゃ〜ん!!」


相変わらず躊躇なく抱きつく凛。


『ふふっ‥‥良い子ね‥』


優しく頭を撫でると凛は溶けそうな笑顔になる。


「今日はETOのサービスが良い!」


嬉しそうにグリグリと頬ずりをする凛が次はクンクンとゆっくり鼻を首筋に近づけて来た。


『ストップ!!』


ETOは凛の肩をグッと引き離す。


『凛!調子に乗らないの!』


「え〜〜〜バレてた?」


『油断も隙もないわ!』


マネージャー見習いになって間もない頃、一度キスマークを付けられそうになり、ETOと蓮司にしこたま怒られた事があった。


駄々をこねる凛に妥協して今は胸元の頬ずりを許可していたのだ。


ETOヲタと言うか変態?を除けば文句無しの優秀なマネージャーである。


まぁ、それを差し引いても蓮司にとっては不可欠なマネージャーである事は間違い無い。


「凛?ちょっと話しがある」


ETOから蓮司に戻り少し不満そうな凛がソファーに深く座り直す。

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