41話 2-5 凛のスキンシップ

シノと駅で別れ二人は蓮司の家に向かう。


正直、マネージャー業務としては逸脱した感も否めないが凛は放課後、毎日のように家に来て夕飯を作り一緒に食事をして経費でタクシー帰宅する生活を送っている。


「あ!夕飯は昨日からタレに漬け込んで置いたお肉焼くけどいいよね?」


「うん‥‥‥‥‥」


蓮司はスマホを見ながら首を傾げる。


「蓮司?」


「ちょっと待ってね?丹羽さんから着信来てた」


蓮司が折り返すが丹羽さんは出られなかったようだ。


「メールじゃ無いと要件が分からないから怖いよね?」


凛は怖がらせる様に蓮司に言う


「‥‥‥確かに‥しかも授業中に来てたから余計だよな‥」


しばらく蓮司の様子を見た凛は笑いながら蓮司の肩を叩く。


「どうしたの?」


「実は丹羽さんメールって使わないんだよね〜!」


蓮司はえっ?っと不思議な顔になる。


「なんで?」


「東さんに聞いたんだけど丹羽さん機械オンチで、昔飲み屋のお姉さんに送るメールを社内に一斉送信したらしくてそれからメールが使えないんだって!」


「東さん曰くどうでもいい事でもいちいち電話してくるから邪魔くさいって言ってた!」


丹羽さんってそんな弱点があったんだ‥


「ま!必要な事ならほっといてもまた掛かってくるわよ!」


「そうだね!」


そうこう話してる内に二人は蓮司の家に到着した。


家に着くと凛がスマホをでメールを打つ。

親に遅くなる事を伝えてるのだろう。

蓮司は先に手洗いうがいを済ませてリビングのソファーにグッタリと座る。後から凛も洗面所から出て来て同じように座り込む。


「「‥‥‥‥つかれた〜」」



「‥‥ねぇ‥‥‥蓮司?‥思ったより教室登校大丈夫じゃない?」


「‥‥‥‥‥‥」


考えて見れば思ったより平気だった。凛が居てくれたせいもあるが昔の様に教室に入るだけで理不尽な暴力が飛んで来る事もなく、無視や暴言を吐かれる事も無かった‥


初日で大丈夫と判断する事は出来ないが、授業を受けると言う新鮮なイベントは素直に楽しいと思えたかもしれない。


「明日も頑張ってみる?」


「‥‥‥‥‥明日無理だったら保健室戻る」


凛は嬉しそうに蓮司の顔を覗きこんで


「ETOは?」


「‥‥‥‥‥」


無視すると凛の手が服に伸びてくるので


『ええ!凛のお陰でとっても楽しかったわ!』


凛はETOに飛びつき


「や〜ん!ETOにそう言って貰えたら疲れが吹っ飛ぶ〜〜」


と、ETOの胸元で頬ずりをする。


『凛ってば!それはダメ!』


ひとしきり頬ずりを楽しむと引き剥がされる。


「‥‥‥‥凛、毎回それ止めてくんない?」


「僕だって男だし恥ずかしいんだけど‥‥」


「良いじゃん少しくらい!ケチ!」


毎日この調子だ




「さ!先に課題を済ませてしまいますか!」


凛はカバンから課題を取り出しテーブルに並べた。



‥‥‥‥‥‥




『凛?‥‥‥‥‥大丈夫?‥‥具合が悪いの?‥悩みがあるなら聞くわよ?』


ETOが心配そうに凛を覗き込み額に手を添え熱を確かめる。


凛は頬を膨らませ


「何?アタシが課題やっちゃダメなの?」


「あ‥‥いや、普段は僕が課題やろうって言うと課題よりおやつを優先しなきゃパワハラだって騒ぐじゃん」


「‥‥‥‥‥‥‥」


凛は遠い目をして無言だった。


「マネージャーとは常に手本とされるべき行動をしなきゃいけないの!」


‥‥‥‥‥‥『まぁ!』


『凛ちゃん‥‥あなたって子はホント‥‥‥成長したわね〜‥‥私嬉しいわ〜』


目頭を押えるETO


凛は気に食わなそうに


「ETOおばさん臭い!」


『おば‥‥‥っ‥‥‥』


凛はシャープペンで頭を掻きながら課題とにらめっこをはじめた。


蓮司も続いて課題をこなしていった。

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