第22話 金髪の美少女
歌コン前日(GW初日)の夜、蓮司と凛はメッセで言い合いをしていた。
理由は
本番の衣装で凛がスカートを履かせたがって聞かないからだ。
何とかミニスカートは回避出来たものの、スカート自体を譲らない‥
メッセではキリが無いと通話に切り替え夜遅くまで議論?(言い合い)をした結果。
結局、ETOの曲を歌うと言う事でETOのイメージカラーである黄緑色と黒の配色で纏められる薄い黄緑色タンクトップの上から黒の短い肩出しトップスにカーゴパンツ、編み上げのショートブーツと細かいアクセサリーに決まった。
翌朝
凛との待ち合わせ場所のマリンドーム前広場。
約束の時間より少し早く到着すると凛にメッセで着いた報告をする。凛もあと少しで着くようだ。
一般枠とはいえ初めて人前で歌う蓮司は緊張からあまり眠れず、朝早くから歌コンで歌うETOの楽曲キーを蓮司用に調整し練習していた。
しかし、ここに来て襲い出す睡魔、少しウトウトしながら待っていると
トントン‥肩を叩かれぼんやり振り返ると
‥‥‥知らない人?
「一人?俺、歌コンのチケ二枚あるから一緒に行かない?」
「‥‥‥‥は?」
覚めてない頭が徐々に状況を理解し、同時に強烈な寒気が襲う。
「人待ってるし、僕男だけど‥‥」
避けるように一歩引くとドームのガラスに映る小柄な自分と知らない男を見てため息が出た。
ガラスに映った蓮司は黒のパーカーで細めのスキニー、凛に借りた金髪の綺麗なストレートヘア、小顔の蓮司には少し大きめのサングラスだったが何処からどう見ても女子だった。
男は眉をひそめ
「‥‥男?」
至近距離で顔を覗き込もうと近付いてきた。
‥‥またこれだ‥
中学の時から幾度となくイヤな思いをしてきた男からのナンパ‥‥うんざりだ。
移動しようとした時、突然手を捕まれ引っ張られた。
「蓮司!待った?行こ!」
凛だった。
凛はナンパ男を睨みつけると蓮司の手を引きマリンドームの受け付けに向かい出す。
困惑気味に挙動不審なナンパ男は会場前の人並みに飲まれ見えなくなった。
「ごめんね蓮司、広くて探すのに少し時間掛かっちゃった」
中々、男前な凛に安堵する自分が情けない‥‥
マリンドーム受付
「すごい人〜!!」
興奮する凜。
思った以上に人が多い。蓮司は慣れない人の多さに萎縮する。受付で凛が一般エントリーに記入をしていると
受付の女性がびっくりした顔で蓮司と凛を交互に見る‥
知り合いかな?
名札には「運営スタッフ東」と書いてある。
知らない人だ。
凜は受付を済ませ。2枚ある関係者プレートの1枚を江藤に渡しながら、受け付けスタッフをチラッと見ると「美人すぎて見られてるわね。」とクスクス笑った。
‥‥冗談じゃない
「これ、無いと控え室行けないみたいだから無くさないで。」
と話す凜の声はあまり聞こえて無く、自分がもしかして見られてるのでは?と変な緊張の様な寒気が走っていた。
控え室に行く途中、有名クリエイターが何人もすれ違う。その度に凜は「今のは◯◯さんだ!」と小さく興奮する。
そして、数人のスタッフに囲まれてすれ違うトップクリエイター。リエルが横切る。派手だ‥
凜は横目で「偉っらそうに‥」と小声で呟いた。
「ね!蓮司?ETO!来てるかな?」
凜が聞くと周りがザワッと反応した気がした。
蓮司は
「え‥っと分からないな‥」
と変な汗をかきながら「ちょっとトイレ!」と注目を浴びたその場から足早に離れようとした。
「待って!」
江藤にファンデーションを手渡し、
「出来る?使い方は昨日教えたよね?スケジュール忘れないでね!控え室で待ってる!」と嬉しそうにスキップしていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます