第21話 出場決定!

 肩を落とし反省する蓮司に凛は優しい声で


「蓮司?でも、気持ちは嬉しいよ。ありがと。」


「アタシの為に頑張って編集したりしてくれたんでしょ?」


凛はニコッと笑った。


「‥‥‥‥僕も、凛の気持ちや努力を踏みにじる様な真似をしてごめんなさい。」


頭を下げる蓮司を凛は覗き込み


「‥‥そう思うなら蓮司?」


「歌コン出て!」


「!!‥‥‥ムリだって!僕男だよ?合格したの凛の動画なんだけど!」


凛は蓮司のスマホを再生して眺めながら


「‥‥‥でもこれって蓮司の声でしょ?」


「悔しいけどめっちゃ上手いし受かったの納得。」


凛は少し頬を膨らます。


「‥あ‥‥いや‥僕の‥声、変じゃない?」


審査に出した動画の歌は蓮司がキーを低くアレンジし歌い直したがそれでも男として聴くと変な感じだと思っていた。

ん?‥‥‥凛は斜め上を見ながら首を傾げる。


「蓮司の声を聞き慣れてるからかも知れないけど別に男でも女でもこれくらいの声は居るくね?分かんないけど」


「‥‥‥‥‥」


蓮司は照れくさそうに鼻を軽く掻きながら言った。


「もっと早く凛に出会いたかった‥‥‥」


凛は真顔で蓮司に手のひらを向け、タッチを求める。



パチン!!



「ん!!歌コンは任せた!だからアタシがマネージャーは任された!!」


そう言うと蓮司の机の引き出しからマネージャータスキを取り出し自分の肩から掛けた。


そして、蓮司のスマホから歌コンの出場通知画面を出し参加確認を開き『参加』をタップして送信した。


「はい!これで『エトウリン』は出場決定です!後には引けません!」


蓮司は頭を抱え

「見た目はどうするの‥ムリでしょ‥‥」


凛は人差し指を立て前のめりで

「身長も体形も同じくらいでしょ?胸にパット入れてアタシの持ってる服と金髪ウィッグ貸してあげる!問題なし!」


「あとメイク道具も貸してあげるから顔が蓮司だってバレもしないでしょ‥てか普段から顔隠れてるから誰も素顔しらないよ!」


参加拒否出来ない素早い外堀の埋め方に蓮司はぐうの音もでない。


「歌コンはゴールデンウィークだから少し余裕持って準備出来るね。」


くっ‥‥僕とは違い、なんて手際の良い完璧なマネージャーなんだ‥‥


思い当たる自分のマネージャー実績は自販機で4本飲み物を購入しお腹をタプタプにしたあげく余計な事をして怒られただけだ‥‥


既に出場用のコーデをスマホで考察していた凛にささやかな抵抗として


「喉痛い‥‥なぁ‥喉乾いたなぁ‥‥」


凛はスマホから目を離す事なくポケットからのど飴、バッグから喉スプレーと水を取り出し机にならべる。


「水は冷たいとお腹痛いって言い出しかねないから、ぬるいけどそれで我慢して‥」


蓮司は両手を小さく上げ‥‥抵抗を諦めた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


にじむです。


沢山のハートと星を頂きありがとうございます!

頂けるとは思っても無かったので大歓喜でした。


今後もETOと蓮司と凛を温かく見守って頂けたらと思います。


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