第18話 歌姫の怒り
女子高生は江藤の回す動画に気づき吹き出す。
「これってまさか歌コンに出す訳じゃないわよね?」
「だったら何よ!」
女子高生は蓮司の横に座り肩をくっ付けると蓮司は反射的に距離をとる。ニヤニヤしながら凛に向かって
「あなたのETOの歌、ETOに恥ずかしいとは思えないわけ?酷いわよ?」
凜は悔しそうに真っ赤になり下を向いた。
‥‥カラオケのメロディーだけが室内に流れる。
凜は突然「ごめん」と扉を勢いよく開け、強く閉めるとトイレの方に走っていった。女子高生は笑いながら
「アッハハ!童謡ならまだまともに歌えるかもね〜」
とイジワルな顔で言いながら蓮司の顎を撫でようと手を伸ばしてきた。
蓮司はその手をパシッと強く叩くと‥
※『不快よ!‥』
『彼女の歌声‥ 私は好き。』
ユラリとマイクを握ると前髪の奥の瞳が強く鋭く室内の空気が変わるような威圧感を感じた。
女子高生は呆気に取られ凍り付いた様に動けなかった。
10分後、凜がトイレから出て来ると入口カウンターのベンチで待っていた蓮司を見て笑顔になった。
「待たせてごめんね!」
蓮司は「ううん、大丈夫」と返しカラオケ店の精算を済ませていた。
「あ〜!勝手にお会計済ませてる!」
「良いよ、また次で‥」と凛の荷物を手渡した。
凛は申し訳なさそうに背中を少し丸め「ごめんね?せっかく来てもらったのに最後に嫌な思いさせて‥」
蓮司は優しく凛の背中に手を添えると
「そんな事ないよ。僕は楽しかった。」
カラオケの個室には先程の女子高生が顔面蒼白の軽いパニック状態で座っていた。
「あいつ‥何者?男?女?‥ていうか急に人が変わらなかった?‥‥上手いなんてもんじゃ無いわよ!あんなの聴かされたら‥‥ ムリ‥‥ ムリ‥‥」
ブツブツと呟き
涙目の歪んだ顔で震えながら自分の歌コン用の動画を消していた。
ふふっ‥ 帰り道、妙に機嫌の良い蓮司に凛が「お腹減った〜」と言いながら肩でグイグイと押してきた。
??‥‥この押し方誘導されてる?押されてる先を見ると、バークイだった。
「まてまて凛!」
「持たない!!蓮司は、お高いお店しか連れてかないじゃん!」
「あ!蓮司ちょっとここで待ってて!」
凛は一人でバークイに入って行った。
しばらくすると凛はビニール袋を二つ下げて帰って来る。
「じゃん!テイクアウトなら良いよね?蓮司の分も買ってきたから公園で食べよ?」
「うん!ありがとう。」
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※『』中抜きの蓮司のセリフはETOモードです。
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