第17話 乱入
翌日の放課後、蓮司と凛は昨日の駅から近いカラオケ店に。
凛は撮影用に一度家に帰り着替えて来ていた。
カラオケの受け付け待ち中、凛は蓮司にクルッと回って見せて
「どう?このカッコ!昨日の蓮司の真似してみました〜」
ニカッと笑う凛は大きめの緑のジップアップパーカーにスキニージーンズとスニーカー、キャップの上からフードを被りしっかりとメイクし直された整った顔立ちは、やはり今どきのモテる女子高生といった感じだった。
「うん!いい感じだよ。」
露出は控える様に言ったがモデルや芸能オーディションならこの容姿だけで一発合格だろう‥
学校で休み時間、歌コンは歌の方が重要である事と、審査に支障の出るような演出、露出は出来るだけ控え、イメージを損なわないように意識する事を二人で確認し合っていた。
‥しっかり顔出しすれば歌がダメでもワンチャン‥‥
蓮司に良からぬ企みが浮かんだが頭を振ってかき消した。
凛はキャップをギュッと深く被り
「ヨシ!準備運動にETOから始めるか!」
気合を入れてETOの曲を入力する。蓮司は初めてのカラオケ店で色んな機材にワクワクしていた。家では防音のスタジオで機材をイジったり歌う事はあるが、こう言った場所のカラオケ機材や騒がしい場所で歌う事は経験が無く緊張してしまう。ETOでも緊張でちゃんと歌えるか心配だがちょっと歌ってみたい気もしていた。
ドリンクを持って来た店員が開けたドアの向こうから漏れる別の部屋で誰かが歌うETO、ちょっと恥ずかしくなる蓮司。
凜はETOを1曲歌い終わり。
「どうだった?」
笑顔で聞いてきたがお世辞にも上手いとは言えなかった。
蓮司は「まだ準備運動でしょ?温まってないし次からは肩の力をもっと抜いたほうが良いかもね。」
「後、声量と楽しさはすごく良いし、伝わるからその調子でね!」
と当たり障りの無いアドバイスで、曲の音量、エコー、声のボリュームを調整した。
「‥‥‥‥」
蓮司をジッと見る凛。
「蓮司、なんか楽しそう!ちょっとマネージャーって感じ!」
楽しいと表に出してるつもりも無かったが言われてみると楽しんでる自分がいる。実際、凛の楽しそうに歌う姿は嫌いじゃなかった。
凜は深呼吸し2曲目を歌う。江藤の調整で聴く分にはマシになっていた。凜はそれを気に入ったらしく3曲目を楽しそうにうたいだした。
江藤はこっそりと動画を回した。
空になった氷入りグラスが2個並ぶ。
カラオケも終了近い時、最後の曲中、突然扉が開き、すごい剣幕の女子高生が入って来た。固まる2人。女子高生は凜に向かって
「アンタの下手くそなデカ声が私のリエル様の曲を台無しにしてるの!」
と怒鳴りつけてきた。
蓮司はびっくりして固まっていたが、凛は怯む事無く
「はぁ?カラオケだし誰が何を歌うのは勝手でしょ?」
と怒った顔で言い返す。
一波乱ありそうだ‥‥
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