第15話 サンドイッチとパンケーキ
「お待たせいたしました。」
テーブルには蓮司が頼んだクラブハウスサンドとアイスコーヒー。凛が頼んだ季節のフルーツとアイスのふわふわパンケーキとリンゴジュースがテーブルに並ぶ。
「おいしそ〜!!」
凛は目を輝かせながら目移りする。
「アタシ、今日お昼食べれてないんだよね〜 お腹ペッコペコ!!」
思ったより量の多いサンドイッチを見て凛に
「良かったらサンドイッチも食べて?」
と言うと、凛はジッと蓮司を見て
「アタシ達、もう仲直りしたよね?」
蓮司は首を傾げ「うん‥違った?」と聞き返した。すると凛は「仲良しだよ!」とニッコリ手を合わせて
「じゃあ遠慮なくいただきま~す!」
とクラブハウスサンドに手を伸ばし美味しそうに頬張った。凛の食べる笑顔はお腹が減る。
仲直り出来た事で緊張の糸が切れた事も後押しとなり空腹感が押し寄せて来た。
サンドイッチを二人で食べていた時。モグモグと咀嚼しながら凛は何か言いたげに蓮司を見ていた。
「?」
アイスコーヒーを一口飲み紙ナプキンで口元を押さえ凛に訪ねた。
「どうしたの?」
‥‥‥ゴクリッ 凛は飲み込んだが喉に詰まってしまったようでトントンと胸を叩くとリンゴジュースで流し込み、ふぅ‥と一息着くと同じように紙ナプキンで口を押さえ前のめり気味に
「‥蓮司ってなんか女子力高くない?」
‥‥‥蓮司はヒュッと背中に寒気がした。
‥‥‥ETOだ‥
蓮司の中のETOが無意識に顔を出していた。引き籠もっていた長い期間、蓮司はETOの性別を偽るためETOでいる時には徹底的に女らしさを身に付けた。喋り方はもちろん仕草から立ち振舞まで‥でもそれは演技であって普段の蓮司は男らしいとは言わないまでも顔を隠す事で普通に男子として生活出来ていたはず。
なぜETOが出てたのか‥‥
『凛と仲良くなりたい。』
頭の中で響くETOの声を聞いた気がした。
蓮司の中のETOがまるでもう一つの人格を持った様な怖さを覚えた。
「む〜‥‥」
頬を膨らませた凛がジト目で蓮司を見ている。
「負けないから!ちゃんと蓮司よりお行儀の良い女の子になってみせる!」
「良いから黙って食べな!」
随分と慣れた。やはり凛と言うべきか‥
てっきり女の子じゃないのか怪しまれているかと思いきや‥‥
今更だが鋭いのか鈍感なのか‥安定の斜め上の凛の反応が蓮司を安心させる。
「蓮司はパンケーキ好き?」
「うん」
凛はウェイトレスにもう一つ取り皿を借りて
「見て蓮司!フワッフワ!」
とパンケーキとフルーツを分けてくれた。
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らくがき
こんにちは、にじむです。
原作ネームのボツネタです。
初期設定では蓮司は制服のまま待ち合わせの場所に来るのですが、この回のETOの女性らしさを表現する場面に制服男子では少し違和感があり私服で来るという事になりました。
結果、思ったよりずっとETOの女性感が強いですw
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