第14話 ペーパーナプキン

 「あ〜!ちょい待ち蓮司!」


お店の入口で蓮司を呼び止めた。


「ん?」


「こんな良いお店入ったらアタシのお財布が爆発しちゃうのよ!」


「爆発?‥‥なんで?」


「お高いでしょ?」


蓮司は不思議そうに首を傾げ


「‥あ〜、僕が払うから良いよ?バークイ行きたく無いって僕のワガママだし。」


凛は困惑しながら


「いやいや、悪いって!何ならコンビニで何か買って公園とかで話しよ?」


蓮司は店内のウェイトレスと目が合い軽く会釈した。


「今日のお詫びだし中で話そ?」


そう言うと蓮司はお店の扉を開けて先に凛を誘導した。

オシャレな雰囲気の店内で凛と蓮司は店の窓際に案内されたが、蓮司は


「すみません。‥奥の席が良いのですが。」


ウェイトレスに店内奥の角席を指差しすと


「畏まりました。」


と、奥の席に案内してくれた。

席に着くと蓮司はサンドイッチとアイスコーヒーを、凛も同じものを頼もうとしたが、蓮司はせっかくだから、と凛に好きな物を選ばせた。


注文を終え、少しソワソワする凛。


「あのさ凛 ‥‥改めて今日はごめんね?」


蓮司は頭を下げる。凛は慌てて飲んでいた水を零さないように手で口を添え


「こちらこそごめんなさい!」


凛は蓮司より深く頭を下げた。


「いや、凛は悪く無いよ‥凛はただ髪の毛に付いた桜の花びらを取ってくれようとしただけ。‥‥なのに僕はその手を叩いた‥‥痛かったよね、ごめんなさい‥」


蓮司は叩いてしまった凛の手を優しく握った。


「‥‥‥」


「?」


あまりに静かな凛に蓮司は顔を上げると凛の顔は真っ赤になり手を握られたまま固まっていた。


「っ‥!あ!ごめん!」


慌てて凛の手を離す。

凛は涙目になりながら辛そうに俯き


「アタシこそ‥‥急に触られたら怖かったよね?‥蓮司の事、何も知らなくて‥距離感、間違えて‥」


「蓮司に嫌われたく無かった‥」


蓮司はその言葉に息が詰まる、息が吸えない‥

視界がジワッと歪み顔を反らすように真下を向くと涙がポタッと膝に落ちた。友達に初めて言われた暖かい言葉。止まれ!涙!蓮司はフードの両脇をギュッと摘んで顔を隠した。


下を向く蓮司の目線のテーブル端に、スッと紙ナプキンを持った凛の手が伸びて来た。


「ありがと‥」


凛から受け取ったナプキンで目をギュッっと押さえ凛を見るとお店に備え付けの紙ナプキンを真顔でモミモミしていた。


「凛?何してるの?」


「このティッシュって固いよね?ゴワゴワするからこうして柔らかくすると使いやすくなる説‥‥」


「‥‥‥」


ぷっ!蓮司は吹き出した。


「え!何?蓮司!」


蓮司は水を一口飲み凛に


「凛の事、嫌うわけないじゃん!」


凛は一瞬ポカンとなり満面の笑みで蓮司に頷いた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


らくがき


こんにちは、にじむです。


この回ですが、原作(漫画)のネームで

凛は蓮司が泣いていた事に気付いていません。文章にし辛いシーンな為、まんま書いたのですが凛があまりに良いキャラを出してしまったので修正しませんでしたw

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