第8話 変化する心

「こんなこと急に言われても、びっくりするよな。でも、俺は前からみきを知ってたっていうのは覚えていてほしい。

あと、俺と友達になってくれないか?友達が難しいなら、知り合いでもいいんだ。みきと出会えたこと無駄にしたくない。今すぐじゃなくてもいい、時間をかけて知っていけたらなって思う。今日はそれを伝えにきたから。」

(こんな人初めてだ。)

『あの、今は色々と整理させてください。

あと、私なんか酷いこと言ってしまって、本当にごめんなさい。』

「いや、焦ってた俺が悪かったよ。あ、俺の名前。黒山れん。普通にれんって読んでいいよ。

じゃあ、また学校で。」


私のことを、優しい目で見てた人がいたなんて考えもなかった。

なんか、心が温かい。

なんか変だ。



休日空けの登校の日は、生憎の雨。

雨は嫌い。気分も下がる日だけど、今日は少しだけ気分がいい。

「みきてぃー!帰ろー!」

『うん!待ってね。傘取ってくる!』

(あれ、ない。誰かが間違って持ってちゃったのかな?)

「どうしたの?傘ない?」

『うん。…ってれん君!?』

「俺の傘で一緒に帰ろうよ。家まで送ってくし。」

『あ、いや!大丈夫…』

[みきてぃー!遅いよ~!ってあれ、れんくんじゃん!ははぁ~ん!そういうこと!

ごめん!私、彼氏と約束してたんだった!お先に帰るね!じゃあね!]

『ちょっと!ゆっ、…。なんかデジャブ…』

「じゃあ、みき行こっか。」

『お邪魔します…。』


こんなに異性と近い距離なの初めてだ。

少しだけ心臓がうるさい…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る