第7話 想ってくれてた人
もう目が覚めてから何時間経っただろう。
今日は休みだからのんびりすればいいか。
こうやってベッドに横たわってると、鼓動が聞こえる。
今日も、生きてるんだなって、思う。
ほんとに静か。
このまま、溶けて消えてしまいたい。
[ピンポーン]
(誰?こんな時間に。配達の人かな?)
『はーい。』
「おはようー!みきてぃー!
良かった~家あってた!」
『ゆっきー!?なんで!?どうしてここに?』
「いや~!なんか、会いたいっていう人がいてさ~!じゃーん!れんくんです!」
『うそ。なんで?』
(よりによって一番会いたくない人)
「喧嘩したんだって!?仲直りしなよ~
そのために連れてきたんだから~!じゃあ私は予定があるので!またね!」
『ちょっと待って!!ゆっ、…』
(なんでこんな展開になってんの?
混乱して分からないよー)
「ごめんね。急に来て。どうしても話がしたくて。」
『私は話すことがないですから。帰ってください。』
「知ってるんだ。みきのこと。」
『……どういうことですか?私を、知ってるって?』
「あれは今から、ちょうど1年前。
俺がダンス練習の帰り道、たまたま公園の方を見かけたんだ。その時、ベンチに女の子が座ってて、よく見てみたら、その子は泣いていて、顔に傷があった。顔もよく覚えてる。話しかけようとしたけど、出来なかった。その子は、泣いている姿でも、とても、綺麗だった。まるで、美しい何かを見ているようで、近づくことも出来なかった。その時思ったんだ、この子を守りたいって。名前は知らないけど、いつか出会えたら、必ず俺の手でって思った。
みきだろ。あの時の女の子。だから、登校初日でみきを見かけて本当に嬉しかった。早く話がしたかったし、早く顔を見たかった。そんな思いが先走って、逆にみきを傷つけてしまったね。ほんとにごめん。みきを守りたいっていうのは本当だ。みきのその傷に何があったかは知らないけど、出来るなら俺もみきの悲しみを背負いたい。」
その言葉が、本当かどうかは分からないけど、嬉しかった。
出来ることなら、それが真実であってほしい。
私、この人を信じてもいいのかな。
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