第3話 クラスメイト②

四月二十一日金曜日 午前九時 


今日はオリエンテーションの日、四人から五人の班に分かれてお昼ご飯を作り、アスレチックに遊びに行くという内容だ。今日が新学期始まって最初の行事だ。

教室に集合し、バスで向かう。名簿順で席が決まっていて私は前の方窓際に座った。私の隣は前の席の松田さん(松田美佑)だ。

松田さん『おはよう。松岡さん今日はよろしく』

私『松田さんよろしくお願いします。』

松田さん意外と話しやすいかもと私は挨拶を交わしただけでなんだか嬉しかった。

全員がバスに乗り込み吉村先生が確認を取ると

バスのドアが閉まり、動き出した。

車内は生徒達の話し声が各場所から聞こえてくる。そんな中

松田さん『松岡さんはどこの中学だったの』

私『私は灯しヶ丘中学だよ』

松田さん『灯しヶ丘か!じゃあ近くや』

『私は西高松中なんだ』

私『西高松なんだね、確かに近くだね』

と私達は中学の頃の話しで盛り上がった。

松田さん『じゃあ、いつも一緒にいる宮澤君と村林君とも中学から一緒なの?』

私『いや、颯人、宮澤君は一緒だけど、村林君は違うよ』

松田さん『そうなんだね、灯しヶ丘中の子他にもいたりしないの?』

私『確か私と颯人ともう二人いると思うけど、あんまり話したことなくて、』

松田さん『あー確かに、中学の同級生多かったな。私も顔はみたことあるけどみたいな子多いかも』

と好きなタイプの話しでも盛り上がった。

ここ数時間で松田さんと少し距離が縮まった気がして嬉しくなった。


午前十一時

オリエンテーション会場に着いた。

先生達から今日の説明と注意事項の話しがあった。

私は松田さん、颯人、雄大との四人の班だ。

一通り話しが終わると各班既に用意された持ち場に移動に移動するように先生から指示があった。

男子二人は火をつける為に必要な木を取りに行った。

その間私は松田さんと一緒にカレーの用意をすることにした。

松田さん『ご飯から先に用意するー?』

私『そうだね、そうしようか』

松田さん『了解。じゃあ私がお米洗って飯盒に入れて用意しちゃうね』

私『うん。ありがとう。こっちは野菜切っちゃうね』

松田さん『ありがとう。よろしく。』

とそれぞれ担当の作業を進めた。

颯人『木持って来たよー!』

雄大『戻りましたー』

松岡さん『ありがとう。』

私『ありがとう。』

颯人『おっカレーの準備進めてくれてるんだ。』

雄大『楓ちゃん、何すればいい?』

私『えーとね、じゃあこっち切って』

雄大『了解。』

と私は洗い終わった野菜を雄大とを切り始めた。

颯人は火をおこしてくれている。

その後も黙々作業を進めた。


雄大『おっけい。こっちは切り終わったよ。』

私『私ももう終わる』

雄大『カレー用とサラダ用分ちゃおうか!』

私『そうだね。サラダ作っちゃおう』


松田さん『火にご飯かけるね』

颯人『うん。火これくらいで良いかな』

松田さん『大丈夫じゃあないかな』

颯人『よし、俺火見てるよ』

松田さん『ありがとう。私も見てるよ』


私は雄大と用意をしながら颯人と松田さんが話してることが少し気になっていた。私がぼーとしていると横から

雄大『楓ちゃんって彼氏今いるの?』

私『えっ、何急に、いないけど。』

雄大『そうなんだ。でも好きな人はいる?』

私『さーね。』

と誤魔化して答えた。

私『そう言う雄大は?』

雄大『俺、俺もいないけど、ちなみに今気にはなってる子はいるけど』

私『ふーん。そうなんだ』

雄大『そういえば、颯人はいるのかな?彼女とか』

私『さあー、どうだろうね、そう言う話ししたことないや』

雄大『そうか、まあ男女の友達だとしないかそう言う話ししないか』

私『うん。そうだね』

とそこへ

松田さん『こっち鍋の準備できたよ。』

私『野菜切り終わったから持っていくよ』

松田さん『ありがとう。』

と私は雄大の質問責めに気まずくなり私は颯人の方へと向かった。


松田さん『松岡さんと村林君仲良いね。楽しそうだったけど何話してたの?』

雄大『そうかな、松岡さんの好きなことー』

松田さん『ふーん』


私『颯人、野菜持ってきたよ』

颯人『ありがとう。ここ入れちゃって』

私『はーい。

颯人『あーこぼすなよ』

私『もう、こぼさないよ』

颯人『ほんとかよ、見てて危なっかしいな。昔からだな』

私『うるさいな。いちいち言わないでよ』


松田さん『村林君って松岡さんのこと気になってる?』

雄大『えっなんで』

松田さん『結構わかりやすく顔に出てると思うけど』

雄大『まじ、俺わかりやすかった』

松田さん『私にはそう見えてるけど』

雄大『あの二人楽しそうだよね』

松田さん『あー幼馴染なんでしょ。』

雄大『お互い何とも思ってないのかな。異性として』

松田さん『さあ。異性でも親友なんじゃあない』

雄大『松田さんは異性の間に親友って成立すると思う?』

松田さん『すると思うな。付き合ってなくても友達としての好きもあるんじゃあない』

雄大『ふーん。そうかな』

雄大『松田さん楓ちゃんと仲良くなったなら俺の応援してよ』

松田さん『気が向いたらね』

颯人『おーい二人ともカレーできたよー』

と松田さんは素っ気なくサラダを持って二人の方に行って行ってしまった。


私は皆んなにカレーを分けた。

颯人は火を消してくれている。

そこに松田さんと雄大もやってきて全員で机を囲った。

できた班から食べて良いとのことなので、皆んなが揃った私達の班は食べ始めた。

颯人『そういえばさっき雄大と松田さん何話してたの?』

雄大『うーん、恋愛の話しかな』

颯人『好きな人がいるとか、付き合ってる人いるとか』

雄大『まあそうかな』

松田さん『そうだね』

颯人『ふーん、そっか』

とその後も私達は恋愛の話しばかりだった。

正直私はこの手の話しはあまり乗り気ではなかった。

とりあえずみんなに会話を合わせた。


雄大、松田さんの出会いによって今までの颯人との関係にも変化が起こり始めているいることにこの時の私はまだ気づいていないのだった。








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