第12話 大衆浴場、湯々湯の湯
どんな事にも休息は必要である。例えそれがパチンコ等という半ば娯楽であってもだ。祐介達にとっては大事な仕事でもあるし、一日中座りっぱなしでは健康にも悪い。そう思い三人は今日のパチンコを早めに切り上げて部屋に帰っていた。
「ただいまぁ、ですぅ!」
マオの声が部屋に響く。マオはどうやら元々この国には定住していなかったそうなので、祐介との結魂を機にメルの部屋に転がり込んで来たのだ。なので現在はメルの部屋で三人暮らしとなっている。
「いやーパチンコで勝つってのはいつでも気分が良いもんだぜ。だけど、これからどうする? 食事にはちと早いよなー」
部屋の隅に転がっている時計には17時と表示されているので、確かにまだ食事の時間には少し早いだろう。
「……そうだな、銭湯にでも行かないか? あそこの裏路地に一件あっただろ」
「お風呂! いいですねぇ、僕も大きいお風呂でゆっくりしたいですぅ!」
「風呂かぁ……メルちゃんのこの若々しい身体が群衆の前で露に……そんな恥ずかしい事ぉ……いいね!」
メルは自身の身体を手で撫でてからグッと親指を立てた。
「いいのか? まぁそれじゃ準備をして行こうか、何がいるかな? そうだ、どうせなら行きがてらに皆の物を一式買い揃えるか」
「うわぁ、いいんですかぁ? 楽しみですねぇ、メルさん!」
「あぁ、そうだな! ぐしし……お湯に何を浮かばせようかなー、やっぱ最初はヒヨコかなー!」
「それは子供の玩具だろ、本当にいるのか?」
「いるもん! おい、マオも買えよ、ゼンマイ仕掛けのを買って競争させようぜ!」
「それはいい考えですねぇ! 祐介さんも一緒に買いましょうよ!」
「俺も買うの!? いやいや銭湯で俺が一人でヒヨコを浮かべてたら只の危ない奴だろ、俺はいらないよ」
少なくとも銭湯でヒヨコを浮かべて遊んでいる大人の男がいたら俺は近寄りたくは無い、祐介はそう思う。
「うるせー買えー! こういうのは皆で買うものなの! よし決まりー、先ずはヒヨコを買いに行こうぜ!」
メルが部屋を飛び出し、残った二人を手招きする。祐介にとってはこの異世界で初めての銭湯である、メル程ではないが気分が高揚しているのを感じていた。祐介は逸る気持ちを抑えて部屋を出た。
「さて、風呂へ行きますか!」
まだ見ぬ風呂の楽園へ三人は歩を進め始めた。
────────
それから三人は買い物を済ませて各々が必要とする物を入れた籠を手に提げながら歩いていた。それは一般的に銭湯へ持っていくには少し大きめの物であり、中には更に小さい籠が入っている。銭湯の中へはその小さい籠を持って入るのだ、当然ながら三人の籠の隅にはゼンマイ仕掛けのヒヨコが陣取っていた。
「……俺はこんなヒヨコなんて使わないぞ」
「三人で一緒の物を持っているのが大事なんですよぉ! それにしてもよかったんですか、こんなに買って頂いて……」
「いいのいいの。最近の収支も上々だし、店の状況も依然として良いままだからこれぐらいどうってことないさ」
「いやー今日もメルちゃんの右手が唸ったからな! 明日の為にもじっくりと右手を休ませないと!」
「うぅ……僕も明日は頑張りますぅ!」
「気にしなくてもいいって、調子が良い時もあれば悪いときもある。三人ならお互いにそれを補えるんだから大丈夫だよ」
本日の収支はマオだけがマイナス域だったが、三人合わせれば充分な収支を上げれていた。パチンコは試行回数をどれだけ増やせるかで安定性が変わる、通っている店が出玉共有可能という点も三人に大きな優位性をもたらしていた。
「っと、ここだな……」
三人が足を止めて見上げた看板には『湯々湯』と書かれている。
「ゆ、ゆ、ゆ……? 何て読むんですかね」
「あん? むぅ……読めねーから看板ぶち割って改名させようぜ!」
「止めろよ! メルなら本当にやりそうで怖いな」
メルは「だって本気だもーん」と笑いながら銭湯の戸を開いた。
「いらっしゃいにゃせぇー」
開かれた戸の奥には番台に座った大きな猫が陣取っている。座布団に座った猫は普通の猫に比べて数倍の大きさである、あれも異種族なのだろうか。
「男性は右ぃー、女性は左にゃー」
猫は気だるそうに言いながら尻尾で行き先を示した。人型の異種族に見慣れたせいか、ここまで猫の姿のままだと流石に違和感を覚える。祐介は頭を下げて案内された通りに下駄箱へと進む。
「にゃにゃっ!?」
最後にマオが銭湯に入ろうとした時、番台の猫が毛を逆立ててマオを睨んだ。その様子にメルは立ち止まり「にゃんだよぅ」と猫に言った。何だろう、と祐介も下駄箱から覗き見てみる。
「にゃぁー? お客さん、今日はどっちに入るにゃ?」
「ぼ、僕ですかぁ!? それは女性ですよ、当たり前じゃないですかぁ!」
「……にゃあぁぁーーー……?」
猫はマオにぐぐっと顔を近付けてすんすんと匂いを嗅いでいるようである。マオは肩を強張らせてそれに耐えている、助けた方がいいのだろうか。祐介が一言言おうとした時「にゃん!」と猫が鳴いてまた元の番台の位置へと戻った。
「ごめーんにゃん! いいにゃん、左の女性の湯へ入ってにゃー!」
マオは訝しげにしながらも女性の方へと入って行く、途中でメルが「やっぱペッタンコだと大変なんだなー」と声を掛けたのでマオは「もー、膨らんでますってば!」と怒っていた。
祐介は下駄箱に靴を置いて脱衣場へと足を踏み入れる。成る程、昔ながらの銭湯に近い造りである。番台を中心の壁として縦に真っ二つに割った造形なのだろう、常に猫が見張りとして目を光らせているという訳だ。猫に番台をさせているのは性別への配慮なのかもしれない。
「にゃー、お客さん、お金払ってにゃー! 三人だと1500円、サウニャ入るなら更に一人100円にゃー!」
祐介は三人各々の財布とは別に家族として共用の財布を管理していた。銭湯のお金も共用の財布から出すべきだろう。
「メルー、マオー、サウナは入るのかー?」
番台越しに語り掛けると直ぐに返事がやってくる。
「メルちゃんもマオも入るからサウナ代も頼むぜー!」
「お願いしますぅー!」
「了解、と。はい、これ三人分とサウナ代です」
祐介が1800円を支払うと猫は「にゃあ」と一鳴きして尻尾を振った。喜んでいるのだろうか。
「あ、そういえばここの銭湯は何て読むんですか?」
「湯々湯と書いてタンタントウって読むのにゃー。お客さん、ヒューマニーにゃろ? 精々気をつけて入るにゃー」
「気を付けて? えと、わかりました……」
祐介は礼をしてから脱衣ロッカーに服を入れ始める。それにしても気を付けてとは何の事なのだろう、危険な風呂でもあるのだろうか。真偽を確かめるべく、祐介は風呂場への戸を開いた。
「ん……? 結構広くて良い感じじゃないか、客も少ないし……」
手前には洗い場があり、奥には大風呂、脇にはサウナや色々な風呂が見える。祐介は早速洗い場で自身の身体を丁寧に洗った。すると女湯と隔てている塀越しに声が聞こえてくる。
「ひゅー、結構広いじゃん!? ぐしし……先ずはこの身体に磨きをかけないとなー! おーい、祐介ぇー、聞こえてるー?」
「あぁ、聞こえてるよ。あんまり騒いで他の客に迷惑を掛けないようになー」
「わかってるって!」
本当に分かっているのかと心配しながらも祐介は大風呂へと足を運んだ。大風呂はこの銭湯の顔とも言えるべき物である、先ずはここに入らねばならんだろう。祐介は大風呂を上から覗き込むが……深い、とても深い。大柄な異種族でも入れるようにするためか、パッと見ただけではどれだけ深いのか見当も付かない。
「んー、一度入ってみるか……」
大風呂の縁に手を掛けてゆっくりと足を入れていく。湯の温度は高めで入れた先からぐっと暖まっていくのが分かる。
「成る程、一応端には段が付けられているんだな……」
そこに腰かけると丁度祐介の肩辺りまで湯に浸かる事が出来る。しかしその先はとてもゆっくりしていられる深さでは無さそうである、祐介は先に行くことを諦めて段に腰掛け静かにリラックスし始めた。この異世界に来た当初の不安もメルとマオの二人のお陰で薄れており今ではこうしてゆったりと湯に身を任せられる。
湯に揺蕩いながら祐介はこれからの事を考えていた。パチンコの収支も上向きなので当面の不安は借金の事だけだろう。無駄遣いを抑えて確りと立ち回らないといけない。となるとこれからはずっと機を伺っていたスロットについても一度考えなければならないだろう。
いつも通っている店にも実はスロットが併設されているのだ。しかしこれまで避けていたのは情報の少なさと店の扱いが分からなかったからである。スロットはパチンコと比べて一日単位のリターンが非常に大きくなりやすいのが特徴で、更には6段階設定の存在がパチンコとの大きな隔たりである。正確にはパチンコにも段階設定が存在する機種もあるのだが、今は置いておこう。パチンコの表に出ている釘とは違いスロットはこの目に見えない段階設定を探す事から始まるのである。
今までもスロットの島をちょくちょく覗いてみたものの、あの店ではあまり扱いが良いとは言えなかった。それでもたまに大量の箱を流す人達も居るので全てが低設定とは一概には言えないのだが、今は大っぴらに宣伝する時期をずっと伺っているのである。この異世界では日本と違い、イベントの類は禁止されていないのでいつかは打つ時が来るだろう。換金率は調べ終わっているので、その前に一度はスロットを触っておきたいところである。
「ふぅ……大分暖まったな、別の風呂も覗いてみるか……」
湯船から出ると身体から蒸気が立ち上る。良い湯であった、流石はその銭湯の顔とも言うべき大風呂である。
祐介は銭湯内を一回りしてみようと歩き出した。すると先ず目に入ったのはボコボコと凄まじい蒸気を出しながら沸騰している風呂だ……いや、本当に風呂かこれ? 湯船の中では鶏と豚の様な異種族がそれぞれ腕組みをして汗をだらだらと流していた。鶏と豚、お互いの身体から出汁でも取っているのだろうか。
「クケェーーッ! 身体中の疲れが溢れ出ていくようだな豚の字ぃ!」
大きな鶏が気持ち良さそうに鳴くが、それは出汁では?
「ブッフフブフゥッ! 骨の芯から疲れが出ていくわいな、鳥の字ぃ!」
大きな豚が自身の身体をバチンバチンと叩いて息を吐くが、骨から出てくるのは豚骨の出汁かも?
「はよぉあいつも来ればよいのだがのぅ! お、待ってたぞぉ……魚の字ぃ!」
「おーぅ、来たでぇ! 今日はワイも身体中の疲れを出すでよぉ!」
手を上げながら現れたのは……鰹である。鰹をそのまま巨大化して手足を付けた奇怪な生物がそこには居た。鰹はそのまま海に帰るが如くざぶーんと沈みながら湯船に浸かる。
「あーこりゃ効くでらぁ! 堪らんがねぇ! あぁー、疲れが染み出るぅー……」
鰹出汁かな? 心なしか湯船から良い匂いが漂って来た気がする。
「おぅそこのヒューマニーの兄ちゃんよ、一緒に入らねぇかい? 良い湯だぜぇ?」
「えぇ!? いやー、この温度だと僕が入ったらたぶん死んじゃうので……すみません!」
「そうかぃそうかぃ! まぁここの銭湯は身体が強くないと危ない風呂が多いで気をつけりゃーよ!」
祐介は頭を下げてその場を離れた、最初からこの調子では意外に入れない風呂も多そうである。そのまま歩いていると今度は毒々しい色の風呂が見えてきた。案内板には毒と書いてある。
「毒かぁ……毒に入ったら俺は死んじゃうよなぁ……」
「ふふふ……この世の過ぎたる物は全て毒。しかし適量ならば毒も薬の内ですよ……?」
笑いながら湯船の中からそう返事をしたのは線の細い優男である。但し頭の上から毒々しい色の花を何輪も咲かせている。
「いやぁ、それならもしかしてこのお湯はヒューマニーの俺が入っても大丈夫ですかね?」
「ははは……秒で死にますね」
過ぎたる物そのものじゃねーか。祐介が思わず眉をひそめると、男は「大丈夫ですよ」とまた笑う、笑顔の絶えない人である。
「私がこの泉質を柔らかくして差し上げますから、少々お待ちを……」
毒々しい湯船の中で何かがうねって水流を作る、やがて男を中心に毒々しい色は鮮やかな青色へと姿を変えた。
「これでヒューマニーのあなたでも大丈夫でしょう、どうぞお入りになってください」
ここまでして貰って断るのも悪いかもしれない、祐介は覚悟を決める。
「……それじゃ、お邪魔します」
祐介の爪先が湯船にちゃぽん……と音を立てて水面を微かに揺らしながら沈んでいく。何せ先程までは入れば秒で死ぬと言われた湯である、警戒するのも仕方がない。
「うぅ……う? 良かった、大丈夫そうだな……」
身体に異変は無いし、深さも丁度良い。暫くここでゆっくりするとしよう、祐介は泉質を変えてくれた男に礼をした。
「この程度は気にする事はありません……でも、気を付けてくださいね……」
「……何をですか?」
「足し湯で毒が流れてくるので、直ぐに出ないと死にますよ」
「うわぁぁーーーおっ!!? あっぶねぇ、そりゃそうだわ!」
祐介は慌てて身体を湯船から出すと丁度その時、蛇口から新たな毒々しい湯が足されたので間一髪の所であった。
「あは、あはは……騒がしくてすみません、他に行きますね……」
「まぁ私が居る限りは大丈夫ですが、そうした方がよろしいかもしれませんね……」
祐介が立ち去る最後まで男はニコニコとしていた
。
「……大風呂に戻ろう、迂闊に適当な湯に入浴したら死にそうだ」
そしてもう少し湯に浸かったらサウナに入ろう、そう考えて祐介は元の大風呂へと戻ってきた。すると女湯から「パパパパッパパー」とファンファーレの声真似が聞こえてくる、この声はメルだろう。
「祐介ぇー、聞こえるかー?」
「聞こえるけど、どうした?」
「そろそろヒヨコレースを開催するぜ! 第一回マオカップ……いや、マオの胸にカップはないからメルちゃんカップにしよっと!」
「もー、メルさんはすぐそういう酷い事を言う! 僕だってこんなに膨らんでいるじゃないですかぁ!」
「ノンノン、そういうことはこのメルちゃんぐらいに膨らませてから言うんだな! さて、第一レーン、メルメルダイナマイト! うーん、はち切れんばかりの肉体が王者の余裕を感じさせます。続いて第二レーン、スレンダーマオ! はたして流線型の身体が王者に通用するのか!?」
メルはまるで競馬のパドックを実況しているような口振りで続けるので、祐介に一つの疑問が浮かんでくる。
「メル……お前、競馬もやってたろ?」
「ぐしし……そういう質問には一切答えられませーん! はい、祐介はどっちに賭ける? アタシ達は当然自分のヒヨコだ! 賭けに負けたら風呂上がりの飲み物を奢って貰うぜ?」
使うヒヨコは来る途中で買ったゼンマイ仕掛けの物であろう。どっちも同じ種類なので単純に運の勝負になるとは思うが、念のためにメルへ釘を刺しておく。
「メルー、先に言っておくけど妨害行為は反則負けだからな? マオもちゃんと見といてくれよ」
「そんな卑怯な事をこのメルちゃんがする訳無いだろぉ! 信じてくれよぉ……な? あん……何だよマオ、その疑いの目付きはよぉ!」
「いやぁ、その……如何にもやりそうだな……って思いましてぇ……」
「やるかあほ! 生意気な奴だぜ、うりうりうりうり……っ!」
「あははははは……っ! わ、脇は止めてくだ……あん! も、もーメルさんったらぁ!」
楽しそうなマオの嬌声が響くが、祐介は落ち着いて考える。同じ玩具なので性能はほぼ一緒と考えていいだろう。そうなると焦点はイカサマをしそうなメルか、それともそれをあえて見逃しそうなマオか……よし、決めた。
「俺はメルに賭けようかな、飲み物が賭かっているんだ。頼むぜメル!」
「えぇ……僕を選んでくれないんですかぁ?」
「ぐしし……そうそう、やっぱこのメルメルダイナマイトだーよな! それでは両名よござんすねよござんすね……?」
「絶対に僕が勝って二人を見返してやりますから! さぁメルさん! 僕はいつでもいいですよ!」
マオのむくれた声が聞こえてくる、祐介がメルを撰んだので拗ねているのかもしれない。もうじきレースが始まるのだが、いくらメルでも飲み物程度の賭け事ではイカサマをしないだろう……というのは素人考えである。必ずメルは何かをするだろう、祐介は確信している。
「ではいちについて……はっきょドンッ!」
「なん、いまなんてっ!? あ、あああぁぁーーーーっ!!? もう走らせてるぅ! ちょっとぉ、卑怯じゃないですか!!」
「だははははっ! いつでもいいって言ったのはマオじゃーん?」
「もー! そういう意味じゃないですよぉ! お願い僕のヒヨコさん、どうか頑張って! えぇーーいっ!」
声だけの判断ではあるが、マオが大きく出遅れたようである。色違いではあるものの同じ玩具なのだからこうなっては逆転は難しいかもしれない。
「さぁ最終コーナーを回って最後の直線! メルメルダイナマイト伸びる! 伸びるーっ! その豊満な身体を精一杯使ってスレンダーマオとの差は二羽身から三羽身! 勝負はもう決まってしまったのかぁ!?」
「あっ! でもほらほら、僕のヒヨコさんが追い付いてきましたよ! 頑張れーヒヨコさーん!」
「何ぃ!? スレンダーマオがぐんぐん伸びているだとぉ? 確かにその差は三羽身から二羽身と縮まっているぞぉ!? もしかしてあれか、スレンダーマオはペッタンコだからお湯の抵抗が無いのかぁ!?」
「同じ玩具でしょ!? 僕のヒヨコさんがペッタンコならメルさんのヒヨコさんもペッタンコですよ!」
「うるさいぞスレンダーマオ! あ、アタシのヒヨコが抜かれ……っ!? ぐぬぬっ──おらぁっ!」
メルの叫び声と共に実況が途絶えたかと思ったら「ああぁぁぁーーーっ!?」とマオの悲鳴があがる。祐介は分かっていながらも声を掛ける。
「マオー、どうかしたか?」
「ぼ、僕のヒヨコさんが、モゴモゴモゴ……ッ!?」
「何々、メルちゃんの勝ちです? そうかそうか、自ら負けを認めるとはマオも成長したな!」
「モゴモゴ、モゴモーーッ!」
「あ、暴れんなよ暴れんな……っ! くっこの……!」
どうやらメルがマオの口を抑えているらしい。大方マオのヒヨコを沈めたとかだろう、祐介は仕方無く塀越しに声を掛けた。
「おーい、メルー。もし今すぐに妨害行為での負けを認めるのなら、メルの飲み物は俺が奢ってやるよ。その代わり負けたんだからちゃんとマオの分は出せよなー!」
「あ、はーい、それならメルちゃんは認めまーす! スレンダーマオのヒヨコを湯船の底に沈めましたー! ぐしし……ってことで祐介ちゃん、飲み物の件は宜しくお願いしますよぉ! げへ、げへへ……」
「それならってお前な……なぁ、そろそろマオの事も離してやれよ。さっきから声が聞こえてこないよ、本当に大丈夫なのか?」
「あーこりゃ失敬失敬、マオ君もメルちゃんを恨まないでくれたまえ。勝負は時の運と言うではないか。ぐーしっしっし……」
「ふぅ、ふぅ……この恨み……はらさでおくべきか……ですぅ……!」
「あん? 何だその反抗的な目付きは……このメルちゃんとやんのかおぉん!?」
「いくらメルさんがお姉さまといっても僕もやる時はやりますよぉ!」
「おいおい、二人とも落ち着いてくれよ。銭湯で暴れるとかは無しだぞ? さて、俺はサウナに入ったら身体を洗って出るから、二人はゆっくりしてきてくれ」
祐介はそう切り上げて湯船から上がった。入湯料とは別にサウナ代を払ったのだ、きっちり100円分は入らないと気が済まない。祐介がサウナに向かった後、塀を隔てた向こう側ではぼそぼそと声が聞こえる。
「おい聞いたかマオ、祐介のやろー堂々とサウナに入るって宣言したぜ? これってもしかしてアタシ達を誘ってんのか?」
「そんな事は聞くだけ野暮ですよぉ! さ、僕達も行きましょ……お姉さま!」
先程までの言い合いも何処へやら、二人は顔を見合わせてニンマリと笑うと湯船から出てサウナへ向かった。其処は奇しくも祐介が目指して歩いているサウナと同じ場所に位置していた。
一方、祐介はサウナの前で首を傾げている。
「なんか……ここのサウナは随分と施設の中央に寄った場所にあるな。あとこの腰巻きは何だろ?」
サウナ室の横には色々なサイズの腰巻きが置かれている。それが多種族用なのは理解できるが、何故腰巻きをする必要があるのだろう。そこで祐介は一つの考えに至った、これはサウナマットの代わりなのだ。中で色々な大きさのサウナマットを敷くよりは、各々がサウナマット代わりに腰巻きをした方が銭湯側にとっても都合が良いのだろう。祐介は納得した顔で意気揚々と腰巻きを着けるとサウナ室の戸を開けた。
「……よーう祐介ちゃん! ほら、メルちゃんの隣が空いてるぜぇ?」
「祐介さぁん、さっきはメルさんに賭けたのですから今度は僕に寄ってくださいよぉ! ほらぁ、僕の隣が空いてますぅ!」
祐介は無言で戸を閉めた、その顔は中で有り得ない物を見たといった表情である。
「こらー! 何で閉めるんだよぉ!」
何故メルとマオが? 二人は流石に裸では無かったものの、タオル生地の下着みたいな物しか着ていなかった。祐介にはその強烈な光景が目に焼き付いてしまっている。
「サ、サウナだけ混浴……それならこの腰巻きはその為なのか!?」
その問いに答えてくれる者は番台にしか居ないであろう。祐介はサウナに行くからと言った事を後悔していた、間違いなくその言葉が今の事態を引き起こしているからである。どうする、引き返すか? その考えはサウナ戸から聞こえるノックの音で掻き消される事となる、メルが満面の笑みでサウナ戸の硝子越しに此方を見ているのだ。
「……分かったよ、俺も入るからノックを止めてくれ」
祐介は観念してサウナ室へと足を踏み入れた。途端に熱気が顔を覆ったので思わず顔をしかめる、すると中から声が聞こえた。
「はーい、はいはーい! 祐介さん、僕の隣が空いていますよ!」
「残念だけどメルちゃんの隣も空いてるんだよなぁ、敗者のマオには遠慮して貰わないと……ね?」
「僕は負けてないんですけど!? あれは誰がどう見てもメルさんの反則負けでしょ!!」
「いーや、祐介が反則を確認してないからあれは反則負けではない! あくまでメルちゃんが妹分に勝ちを譲ったというか、そんな感じだもんね!」
「もー、祐介さんもメルさんに何か言ってくださいよぉ!」
「……俺はここに座るから喧嘩は止めてくれよ」
祐介が適当な場所に座ると二人はその両隣にスッと座った。
「なぁ祐介ぇ、メルちゃんはここを出たらビールが飲みたいのだぁ……」
「メルは駄目って言っても飲むだろ? 一杯は奢ってやるから後は自分の小遣いで好きに飲みなよ」
「でもぉ、メルちゃんビールを三杯は飲みたいのだぁ……ねぇ……祐介ちゃーん……?」
メルは祐介の肩にしなだれ掛かり、流し目で祐介を見詰める。祐介の太股辺りに然り気無く置かれたメルの手が、ゆっくりと弧を描いて柔らかな刺激を与える。
「おまっ、触るなよ!」
「ぐしし……家族じゃん? これぐらいかるーいスキンシップじゃーん? ん、痛い!?」
祐介が目をやると、そこにはメルの手の甲を思い切りつねるマオの手があった。
「あ、すみませぇーん! 祐介さんの太股になんかでっけぇ蛾がいるなぁ、と思いましてぇ……でもメルさんの手でしたねぇ、えへへ……」
でっけぇ蛾と吐き捨てる様な物言いに祐介も開いた口が塞がらないが、メルはその侮辱的な言葉に怒りを覚えたのかプルプルと震えていた。
「マオにはこの白魚の様な綺麗なお手々が蛾に見えるってのか、えぇ!?」
「白魚なら陸に上がって悪戯しないだけマシですかねぇ……」
「おぉん!? 随分反抗的な妹じゃねーか、くらえっ、白魚パンチ!」
言葉と同時にメルが拳を素早く繰り出すがマオは事も無げにあっさりと躱した。それが更にメルの怒りを買ったのか、間髪を入れずに「おらおらぁ!」と、また拳を繰り出す。
「ちょ、人を挟んで喧嘩をするなって! おい……んあっ!?」
メルから数発目の拳が飛んだ時、祐介が不意に身体を反応させた。二人は動きを止めて祐介に声を掛けた。
「どうした、もしかして拳があたっちまったか!? すまなかったな、あのペッタンコのマオがすばしっこくて……」
「祐介さん、大丈夫ですか? もしかして白魚とかいう雑魚のせいですか!?」
「いや、変な反応をしてすまん……メルの拳が胸を掠めたから、つい声が……」
その言葉にメルとマオは顔を見合わせて御互いに頷いた。それを見た祐介に嫌な予感が過る。
「くらえー、マオー。えーーーいっ!」
メルが感情を伴わない棒読みな演技で拳を繰り出す。
「わぁー、危ないですよメルさぁーん!」
マオもまたわざとらしく驚きながらメルの拳を受け止める。その拳は祐介の乳首辺りを軽く擦りながら何度も繰り出された。祐介が身を仰け反らせたり、捩ったりしても乳首辺りを的確に通過していく。
「ええい、鬱陶しいわ!」
祐介は両手で胸を守るように覆うが右手はマオに剥がされ、左手はメルに剥がされてまた胸が露になる。先程までは軽い言い合いをしていた二人はお互いに「おいマオよけるなよぉー」「メルさんったら危ないですよぉー」等と笑いながらあの手この手で祐介の乳首に刺激を与えようとしてくる。
「んんんんーーーっ! あーもう、俺はサウナから出る! だからもう離せよぉ!」
「ぐしし……わかったわかった、もうしないからさ。もう少し居てくれよ、な?」
「……本当だろうな? もう二人で喧嘩もしないな?」
「しませんよぉ! 僕とメルさんは姉妹みたいなものですからぁ! ね?」
うんうんと頷く二人に祐介は一息吐いたが、どちらにせよそろそろ限界ではある。多少動いたのも影響してか、祐介の身体には汗が噴き出していた。
「あー、祐介さん、汗が一杯出てきましたねぇ。僕が拭いてあげますね!」
マオが自分のタオルで拭こうとしたので、祐介はそれを慌てて止めた。
「いやいや、汗で汚いだろうからそんな事はしなくていいよ」
「汚いだなんて、僕が祐介さんにそんな事を思うわけがないじゃないですか! それに祐介さんにはたーくさんお世話になっていますからね! あ、そうだ! 先程のお礼の代わりに祐介さんの風呂上がりの一杯は僕がお小遣いから出しますよぉ!」
マオのそれは有難い提案だった。サウナを経てからっからに乾いた身体への最初の一杯は例えそれが只の水であってもどんな甘露にも勝る珠玉の露である。その渇望の一杯は甘く思えば何より甘く、コクを思い焦がれれば何よりも奥深く感じるであろう。しかし祐介はそこで一つの考えに辿り着いた。祐介はメルを収める為に一杯を奢り、メルはマオに勝負で負けたので一杯を奢る。そしてマオは祐介に助けてくれたお礼に一杯を奢ろうというのである。つまり、奢る一杯が綺麗に一周する事になる。
「マオの提案はありがたいけど、そうなると奢りの一杯が俺達を綺麗に一周するよね。だったらもう自分で買って飲んだ方が良くないか?」
「んもー、祐介さんったら分かってないですね! こういうのは皆で一杯を出し合うのが良いんですよぉ!」
「そうそう、それに想像してみろよ。サウナ上がりに奢りの一杯……んー最高じゃん?」
マオの反論にメルはうんうんと頷くばかりか空の手でグラスを傾けてグビグビと喉を鳴らす仕草をする。
「ぶふーっ! 美味い、もう一杯ってな!」
「……二杯目は自分で飲めよ? ま、二人がそう言うなら奢りの一杯……頂きに上がりますか!」
「よっしゃー! メルちゃんも出るぜぇーっ!」
祐介が勢いよく立ち上がると二人もそれに続いて立ち上がった。しかし、はらり……とその勢いに着いてこられなかった布が一枚、二枚と宙を舞った。祐介はそれが何なのか初めは理解出来なかったが、理解と同時に視界に飛び込んできた現実に思わず目を疑った。
「メ、メル! サウナ着が取れてる取れてる! は、早くそれを着ろ、それか早く女湯の方へ出ていけ!」
先程のマオとのじゃれ合いでサウナ着がはだけてしまっていたのか、兎に角今のメルは一糸纏わぬ姿へと変貌していた。はらりと舞った布着が羽化を思わせる程メルの裸体は神秘的に綺麗で、祐介の網膜へとはっきりと焼き付けられた。サウナの熱気で上気した肌に浮かび上がった汗の雫がするりと滑る。頬から顎を伝い、首と鎖骨を撫でて張りのある胸をするりと落ちていく雫を確かに見たのだ。祐介は気付くと自身の目を自らの手で覆っていた、本来ならばもっと早く視界を覆うべきではあったがメルの身体から目が離せなかったのも疑い様の無い事実であった。
「ん、あぁ……さっき結構動いたからかな、サウナ着が取れちった。ま、祐介もこのセクシーなメルちゃんを見れてラッキーだったろ? ぐーしっしっし……」
メルは事も無げに裸体を披露しながらゆっくりとサウナ室を出ていく、その余裕ある佇まいは優雅ですらあった。その一方で祐介は他に客が居ない事に安堵していた、もし他に男の客が居たら……それは余り考えたく無いことである。
「メルの奴、余裕が有りすぎるだろ! なんか慌てた俺の方が馬鹿みたいだったな……はぁ、俺も出るか……」
「あのメルさんを見てその考えとは……祐介さんもまだまだですねぇ。少しこっちに来てください!」
マオはサウナ室から出ようとする祐介の手を引っ張り、逆の入り口……つまり女風呂の方へと向かった。祐介がマオに「何をするんだ?」と聞いてみても「えへへ……」と笑うばかりで答えはしない。そして女風呂への入り口の前に立つと、マオは言った。
「いいですか祐介さん、よーく耳を澄ませておいてくださいね?」
女風呂への入り口の戸は覗き防止の為か硝子は嵌めていないので、そのまま木の板といった物であるが、それをマオはゆっくりと少しだけ開いた。サウナ室に一条の涼やかな風と共に漏れ出る光、そしてその隅に誰かが座っているのが見えた。あの後ろ姿はメルである。メルがサウナ室の側で踞り頭を抱えながら何かを呟いているのが聞こえてくる。
「ぐおぉぉぉおぉ……っ!? 祐介に裸をみ、見られたぁ! 何でサウナ着が取れるんだよぉ、ばかやろー! 逆にアタシは何で堂々としちまったんだ……は、恥ずかしすぎて死ぬ……んもぅ……っ!」
マオはそこまで聞くと満足そうに戸を閉めた。
「ね? メルさんって意地っ張りで可愛いでしょ?」
「……まぁ、確かに……可愛いけど」
恥ずかしかったのならさっさと身体を隠してくれればいいのにと思ったが、これはこれでメルらしいと祐介は思った。
「それじゃ俺も身体を洗って出るから、マオも後でね」
「はーい、分かりましたぁ!」
マオがそう勢いよく手を上げると、はらり……とサウナ着がまた一枚宙を舞った。マオの胸を守っていたサウナ着である、そうなると当然マオの胸は祐介の視界に晒される事になり……。
「ひゃ、ひゃあぁぁ……っ!?」
マオはバッと胸を手で隠した。
「……み、見ました?」
何を、と言える程祐介は厚顔無恥では無い、目を剃らしながら頷くので精一杯である。その小さくもぷっくりと主張する胸はメルがペッタンコと言う程に薄くはなく、小さいながらも柔らかそうな質感を持って祐介を苛む。幼児体型というのだろうか、身体全体を覆う程好い肉付きが何処を触っても柔らかそうなイメージを与えてくれた。
「ふぇぇ……僕も外で踞ってきまぁす!」
マオは勢いよく戸を開けてサウナから出ていった、戸の外から冷ややかな風が入り祐介の身体を少しだけ冷やしてくれる。サウナ室に残されたのは祐介と二人が落としていった女性用のサウナ着だけである。
「これ……どうするかな……」
祐介は置いていかれたサウナ着を持って途方にくれた。放って置くにもあの二人の物なので誰か良からぬ男に渡るのも気が引ける。男風呂の方にも回収ボックスが置いてあったので、そこに入れておけば大丈夫であろうか。
手に持ったサウナ着からじわりと水分が滲んでくる、あの二人も相当に汗をかいていたのだからこのサウナ着が汗で濡れているのも当然である。
「…………」
祐介は自身の心臓の鼓動が妙に五月蝿く聞こえてきた、周りには誰も居らず、また誰かが入ってくる気配も無い。あの二人と共に暮らしてはいるものの、こういった物を手にする機会は当然ながら無いし、また求めてもいなかった。
「…………むぅ」
しかし、今はこの手にあるのだ。二人の胸を覆い隠してその滲み出る汗を一身に受けたサウナ着がじんわりと濡れて祐介の手の中に収まっている。落ちていた物を無造作に拾ったので、これがどちらの胸に当てられていた物かは分からない。
分からないのだが、どちらの物にせよこれがとても魅力的に思えた。サウナの熱で頭が茹だっているのか、ともすれば甘い匂いが漂ってきそうなそれを、祐介はゆっくりと顔に近付けて……。
「ったくよぉ、何でマオまでサウナ着をほっぽって出てくるんだよぉ! せめてメルちゃんのサウナ着ぐらい回収してこいよな!」
「メルさんは自業自得でしょ!? 僕だって慌てて出てきちゃったんですからしょうがないじゃないですかぁ」
「アタシだって気が動転してたんだよ!」
その瞬間突如として女風呂への戸が開かれた。
「あん……? 祐介、まだいたの……ああぁぁぁーーーーーっ! 祐介がメルちゃんのサウナ着でクンカクンカモスモスしてるぅぅ!」
「ちが、違う! 誤解だ!」
「そうですよメルさん、あれはメルさんのじゃなくて僕のサウナ着です! んもー、祐介さんにならそんな物よりもっと良いものを……あ、と、で沢山あげますよぅ!」
「それも誤解なんだ! ちょっと話を聞いてくれ!」
祐介はサウナの熱気を忘れる程に冷や汗をかいていた。もう今更何を言っても藪蛇かもしれないがそれでも抗議を続けなければならぬ。
「いーや、アタシのだ! メルちゃんのサウナ着を嗅いでた!」
「嗅いでない!」
「むしろ舐めてた、食べてたぁ! クンカクンカモスモスペロシャブリンチョだった!」
「いくらなんでもそこまでするかぁ! あぁーーーもう、ほら! これを取りに来たんだろ!?」
祐介が強引に手に持っていたサウナ着を渡すとさっと身を翻して「それじゃ俺もサウナの外で踞ってくるから!」と切り上げた。
「踞って……? あ、おい! 何で祐介がそれを知って──」
後ろからメルが声を掛けるが祐介は既に男風呂へと戻っていった。そして素早く桶に水を掬うと身体に何度も掛ける! サウナの熱気から解放された身体に冷えた水が良く染みるのだ! 身体に滲んだ汗を流し終えたら水風呂へと一目散に入った、足先から首元まで一気に冷えていく。しかし身体に蓄積された熱が尚も中心で煮えたぎっているようである! 祐介はそこで一気に息を吐き出した!
「ぐおぉぉぉおぉ……っ! 何で俺はあんな事をしようとしてしまったんだぁ! 大体あいつら油断しすぎなんだよ! 誰がサウナ着なんて食べるかぁ! 舐めるわけないだろ! 嗅ぐわけ…………ぐおおおぉぉぉおぉーーーーー……っ!!」
どちらのサウナ着なのかはハッキリとはしていないが、何だか甘くて良い香りであった。それは心の奥底に留めておこう、祐介は水風呂で充分に冷えた身体をタオルで拭きながらそう思った。
身体を洗ってまた二人に会えば何も変わらない態度でいられるだろうか、意識の奥底に記憶された二人の裸体がいつまでも祐介の煩悩を刺激しているのであった。
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