第4話



【ミカン視点】



 私は、和也様が魔物退治に向かわれたあと――


 お姉さまに問いかけました。


「お姉さま、和也様には本当の事を言っても大丈夫な気がするのですが……どう思われます?」


 すると、お姉さまは、おっかない顔になりオレンジ色の瞳で私を睨みつけてきました。


「ダメよ! 私達は、買われた時に言われた通り幼子を演じる必要があるの! 確かに、毎回毎回治療されちゃうから、その度に破瓜の痛みに耐えなくっちゃいけないのはどうかなって思うけどね! それでも、それを含めてご主人様の望まれた事なの! 間違っても私達が100年以上生きているなんて言っちゃダメなんだからね⁉」


「ですが、私は心苦しいのです。毎日愛をささやいて下さる和也様を騙し続けるのは……」


 すると、お姉さまはオレンジ色の髪を逆立てて私の肩をガシッとつかんできました。


「私達が、肉付きも良くなって温かいご飯も食べれるようになって毎日お風呂にも入れるのは誰のおかげ⁉」


「もちろん和也様です!」


「だったらご主人様の夢を壊す様な事は忘れなさい!」


「ですが、もしも、この先……10年とか経っても私達の容姿にほとんど変化が現れないとなれば変に思われるのではないでしょうか?」


「そんなの、その時はその時よ! いーい! 私達は嘘なんか一切ついていない! ただ聞かれなかっただけ! 今後、私達と同じようにハーフエルフや純粋なエルフをご主人様がお買いになっても聞かれるまでは私達から一切言わない事! いいわね⁉」


「本当に、お姉さまはそれでもいいのですか?」


「何が言いたいのよ⁉」


「だって、お姉さまは和也様の事を本当に気に入っておられますよね?」


「なっ⁉」


 お姉さまの顔が真っ赤に染まります。


「な、なな、に、言ってるのよ⁉ あんな子供なんかに本気になるわけないじゃない!」


「では、私が正妻になりたいと言っても止めませんか?」


「なに言ってるの! 私達は、あくまで奴隷であり所有物なのよ! それが正妻だなんて! ご主人様が認めるわけないじゃない!」


「では、今日の魔物退治が無事に終わったら私は、奥さんにしてほしいとねだりますがいいですよね?」


「た、たしかに、ご主人様は、私達が何かねだると、お喜びになる節もありますが……いくらなんでも正妻だなんて……」


「ですが、結婚してしまえば捨てるに捨てられなくなるのも事実ですよ?」


「確かに……それは、それで、アリかもしれないわね……」


 お姉さまのつかんだ手の力が弱まりました。


 例えどんな形であれ女神様の前で結婚を誓い合えば簡単に離婚出来ないからなのです。


「では、お姉さまも一緒に結婚なさると言う事でよろしいですね?」


「なっ⁉ わ、わたしは、いいわよ!」


「では本当に、私だけ正妻になってもよろしいのですね?」


「ふんっ! 好きになさい!」


 そう言ってそっぽを向くお姉さまが少し可愛いと思ってしまう私。


 きっとお姉さまは驚く事でしょう。


 私は、私達二人をお嫁さんにしてほしいとねだるつもりなのですから――




 おしまい  

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ロリコン男爵 日々菜 夕 @nekoya2021

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