カーチェイス再び

 アンナを押し込み男は車を急発進させる。俺も慌てて車に戻り後を追いかける。また人気のない工場地帯の方へと向かっているようだ。

「何なんだよ!」

 車を見失わないよう、必死に喰らいつく。

――ウーッ!

 少し後ろから赤色灯が追いかけてくる。

「そこの2台! 止まりなさい!」

「パトカー!? コンビニで通報されたか!」

前の車はスピードを落とす気配がない。俺も止まるわけにはいかない。しばらくカーチェイスが続いたのちに、先頭の車が先程とは別の廃工場へと入っていく。続く2台もいくらか時間を空けて入っていく。

「諦めたか?」

停まっている車を確認したが、誰も乗っていない。

「奥か!」

工場の建物内から僅かに声が聞こえた。後ろからも警察が迫ってきているだろう。

「考える時間ぐらいくれよ!」

逃げるように建物内に入っていく。デバイスを起動し、紫の光が集まり、ネイルガンを発現させる。暗闇の中をスマートコンタクトの補助を借りながら進んでいく。


――パァンッ!

 発砲音と共に、銃弾が綱吉の顔の横を掠める。

(危ねえ! 野郎、撃ってきやがった!)

 俺もすかさず反撃を試みる。発砲音のした方に、ネイルガンを構え、スイッチを押す。小さな音と共に、釘が飛んでいく。壁や床に当たる音はしたが、人に当たった気配はない。

(ちっ! 相変わらず当たらねえ!)

 心の中で舌打ちをした後、ナノマシンを集中させて釘を補充する。

 再び銃声がし、左肩の辺りに熱を感じる。

「痛え!」

 コンテナの陰に転がり込んだが、思わず声が漏れ、しゃがみ込む。左肩に確かに当たったが、血は出ていない。

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