第50話 12話 気まぐれの弟子たち
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「お前最近、動き変わったな」
「自分の戦闘スタイルが見えてきたので」
キョウヤはリライズの庭で、ポルコからいつもの訓練を受けていた。
「まぁこの街の武器性能も上がったことだし、構わんが。その方向性なら、もっとコンパクトな動きを心掛けろ。まだ武器にあった動きではない。体の回転を上手く利用し、最小限の労力で最大限の力を出せ」
「はい!」
『キョウヤ兄ちゃん、ポルコおじちゃん』
ついこの間、帝国より連れ帰ってきた子供たちがやってきた。
「おじちゃん止めろ! 俺はまだお兄さんだ!」
「まだ?」
「うっせいぞ、キョウヤ!」
『あはははっ』
ポルコは本気で気にしていったのだが、子供たちには盛大にウケてしまった。
「ポルコさん、俺たちにも剣を教えてください」
「僕も!」
「私も!」
「お前たちに、剣だぁ?」
年齢バラバラの子供たち。上の子だと10歳~12歳程度。
年長組だけやらせたらチビたちは不満になる、か。
「ん~、なら、ちょっと本気で剣の修行やるか」
「いいの!?」
「あぁ、キョウヤはその間休憩しながら、チビ助の相手してろ」
「はい」
キョウヤは、一番下の子を抱き上げ、観戦することに。
「それじゃ今から、お前たちを剣士として指導する。返事」
『はい、ポルコお兄さん』
「都合よすぎだろ、お前ら」
子供たちのたくましさに苦笑するポルコ。
「今から俺はいろんな速さで逃げる。お前たち全員で俺を捕まえろ」
「え~、剣は~」
「お馬鹿。相手が見えなくちゃ剣を振っても当たらない。支援魔法で自分が早く走れるようになっても、目で見えてなくちゃ、本気で走れなくなる。お前たちの目を、将来の鍛える。これは究極奥義だ」
『きゅ、究極奥義っ……』
「んじゃ、やるか」
そう言い残しポルコは庭を走り回る。
「え?」
「どうした~、こないのか? まさか、始りの合図を待ってたんじゃないよな? 敵と戦うとき、合図なんかくれないぞ~」
「みんな行くぞ!」
『うん!』
「ちょ、こいつら、連携とるの慣れてる? 妙に様になってるんだが。こりゃ、もう少し厳しくてもいいな」
ポルコはもう一段階スピードを上げた。
「速い!」
「凄ぇ……」
「目の前を通り過ぎてるはずなのに……」
「手が届かない~!」
子供たちの手をすり抜けるポルコ
「見えた!」
「残念。それにしてもお前たちセンスいいな。将来、いい剣士になれるぞ」
「ほんと!?」
「僕も?」
「あぁ、お前ら全員合格だ。いい目してるし、仲間との連携も上手い。今後もそれは大事にしろ」
『はい、ポルコ先生!』
「俺が、先生ね……」
◇ ◇
「兄貴、俺、上手くなったんだ! 見てくれよ」
「お腹すいた~兄貴」
「おごってくれるの!? さすが兄貴ふとっぱら!」
「ねぇ兄貴、ここどうすればいい?」
「あ、俺も教えてくれ、兄貴」
「俺ら、絶対、兄貴みたいになってみせる! そしたら兄貴の仲間にしてくれ」
◇ ◇
(いい加減、吹っ切るべきなんだろうな……アイツらのこと)
「今だ!」
『すきやり!!』
「にょわ!?」
ポルコは6人全員に捕まった。
「かぁ~、負けた。完全に負けだ。お前たち、よく隙を狙えたな。終りの合図を出してなかったし、お前たちの勝ちだ」
「よっしゃー!」
「うし!」
『やったー!』
子供たちの喜んでる姿を、どこか懐かしく微笑むポルコだった。
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