第25話 25話 獣人国へ出発

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「レイジ、あんたせっかく馬車改良したのに、車で行く気?」

「ほんとはヘリで行きたいんだけど」

「自重してこれねぇ」

「大丈夫、安全運転でいくから」

「そこじゃないわよ」

 獣人国出発の日、エデンの城壁前で準備。今回俺たちは、技術力の高さを見せつけるために、車での移動にした。本当はヘリで行こうと思ったが、さすがに自重した。


「これがクルマか。凄いな……」

 城壁前に数台並ぶ人員輸送用車両『高機動車』に、ロミオは驚いていた。キョウヤとヒソカは、あちこち見て回っている。

「運転は家のメイドがするから、兵士たちも乗せてくれ。獣人国側に、車で行くこと伝えたんだろ?」

「うむ。使者に特殊な魔導馬車で行くと伝えさせた。了承も貰っている」

「なら攻撃されることもないだろ」

 正直、そこが心配だったから馬車で行くことも考えた。だが、今回の外交は失敗する確率の方が高い。なんせ独立したとはいえ、元帝国の人間。だから意表ついて、混乱させる必要がある。

「ミーが運転するね!」

「止めて!」

 珍しくカズマの鋭いツッコミ。前に酔ったのがよっぽどトラウマなのだろう。

「あたしが運転するわ」

「姉さんが? 俺が運転するつもりだったんだけど……」

「レイジは隣でフォローして。あたしも覚えておきたいから」

「了解」

「いいなぁ、私も運転したい!」

「ヒソカとキョウヤは、あと2年我慢な。18歳未満は禁止だ」

「むぅ」

 ムスっとむつけるヒソカ。キョウヤもどこか残念そうだ。

「あとでバイクなら教えてやるよ。1人か2人乗りの小回りきく乗り物だ」

「ホント! 絶対だよ!」

「よろしくお願いします」

 子供たちのご機嫌も戻ったことだし、そろそろ行くか。

「んじゃ、出発すっぞー。全員乗れー」


「しょうがないネ。ミーの美声を聞かせて上げるヨ」

「タケル、歌う気? お約束なら魔法少女系かな。『GATE』みたいに」

「それじゃ1曲目は『桃井さん』の『めい☆コン』ネ!」

「俺は魔法少女派生で『さくらちゃん』『プラチナ』1択」

「レイジがそっちなら、僕は定番で『なのは』にしよ」

「それじゃ私は『まどマギ』にするわ」

「「「まっじで!?」」」

 珍しく姉さんが俺たちのノリに乗った。姉さん『まどマギ』知ってたんだ……。


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