第16話 16話 初・プレゼンテーション
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「呼びつけてしまいすまない」
そう謝罪するのは、この国の国王ロミオナルド・プリンエデンだった。
ヲタ的に反応しそうだったが、なんとか抑え込む。ここから計画を進めるための許可を貰わなくてはならない。俺たちにとって〝本当の戦い〟だ。
「セバスから話しは聞いてる。3人の英雄たちよ、先ずは街を、いや、国を救ってくれて感謝させてほしい」
「レイジでいい」
「ミーはタケルネ」
「カズマでどうぞ」
「わかった。私のことはロミオと呼んでくれ。レイジ、タケル、カズマ」
そう言って微笑むロミオ。俺たちと同じ20代前半くらいで超絶イケメン。まぁ名前からして色男の予感はあった。『ロミオ』だし。
「では、まずどこから話したものか……」
「あぁ、あたしがだいたいの説明したわ。むしろ話しを聞くのはロミオよ。レイジたちが案を持ってきたみたいよ……不安だけど」
姉さんがジト目で俺ら3人を見てくるが、俺たちは笑顔で返す。
「ふふ、これを見てくれ」
「っ、これは……」
俺は『VRスクリーン』を表示する。VRとついているが、魔法で作り出した近未来的モニターだ。そこに映し出したのは俺とタケルで作った、リアルCGの街映像。そこに住む人も映し出されている。ナレーションはカズマにやらせた。
やっぱ人にわかりやすく説明するには、視覚化するに限る。映像なら聴覚も使えるし。
『ようこそエデンの国へ』
『ここは大陸の最果て、『魔境』前の、最後の国』
『魔境の魔物たちが流れてきやすい危険な街』
おどろおどろしくナレーションが始まる。
『過去、多くの人が命がけで護ってきました』
過激な戦闘シーン。冒険者や兵士たちが汗を流しながら魔物を討伐している。
『そんな危険な街が生まれ変わる!!』
『危険な魔物たちから身を護ってくれるのは、大きな城壁。結界も張られてるため、魔物よけだけでなく、魔法攻撃などからも身を護ってくれる頼れる存在』
『冒険者や騎士たちは、新たに作られた武器や防具を装備。これにかなう者なし』
アニメやマンガで出てくるようなビジュアル重視の装備。だが、安全性はかなり上がってる。
『新たに作られた自然豊かな湖。そこからは大量の資源が。魚もいっぱい!』
『湖の周りには小さな森もあり、お休みのピクニックに最適。観光目的に遊覧船もある。みんなぜひ乗ってみよう!』
城壁を出て、山が見えた。
『次に紹介するのは、長い間私たちエデンの街を支えてくれた裏山。なんとここも新たな山に大変身!』
『岩塩や鉱石など大変貴重な資源の眠る山に!』
『多くの動植物もあり実りの多い山に』
うさぎや鹿などが花畑で戯れている。
『でもやはり怖いのは魔物の存在。ですがご安心。この裏山には、専属の護衛が!』
『その名はゴブリンソルジャーズ!』
迷彩服を着たゴブリンたち。このゴブリンは、俺たちと仲良くなったゴブリンたちだ。彼らをスカウトして、訓練させた。
『魔物退治はお手の物。彼らの連携にかなわない』
ゴブリンたちの訓練映像が映し出された。これはCGではなく、実際の訓練映像。
『人と言葉を交わせるので山道に迷ったときなども道を教えてくれます。困ったときはゴブリン隊!』
まさか言葉を話せるようになるとは、これは俺たちも予想外だった。もう完全に普通のゴブリンではなく、人族のゴブリン族って感じだ。
『次に紹介するのは、私たちの住む新たな〝国〟エデン・王都。帝国から独立し、新たな資源や技術を得て生まれ変わる!』
現代ヨーロッパ風の街並み。大きな道路に馬車が通る。車にせず、馬車だけはそのまま残した。イメージとしては、日本だと大正時代が近いかも。
『注目は道路中央の線路。この専用の道を通るのは、街の端から端まで走る〝路面電車〟。大きくなった街の行き来もこれに乗れば楽ちん楽ちん』
『歩道という歩き専用の道もあり、万が一の対策もあるので、これで事故も減らせそう』
ガードレール代わりに、万が一の時は物理障壁が張られる。
『次に紹介するのは私たちの住む家。透明な窓ガラス、火加減の調整しやすいコンロというカマド、ひねれば水の出る水道、家の中を明るくしてくれる照明、ゆったり入れるお風呂場』
『そしてとても綺麗なトイレ! お尻を洗浄してくれるウォシュレット付きの優れもの!』
『貴族や王族でも味わえない暮らしを体験できます』
『さぁみんなで豊かな暮らしをしましょう』
勝った。完璧な終りだ。
『……』
ロミオもセバスも警備の兵士たちも誰もが言葉が出ない。
姉さんは目を覆い、呆れていた。何故だ?
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