第14話 14話 子供たちの願いと父親の甲斐性

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「ぁぁぁぁぁ~~~~」

「レイジが壊れたネ」

「ほら起きて」

 子供たちのハッキリとした拒否に膝をついていたが、カズマに起こされる。

「私たちが断ったのは、パパ――いや違ったレイジにお願いがあったからなの」

 ヒソカがニシシと小悪魔フェイスで笑う。畜生、パパ呼びいいじゃないか!

「パパ、レイジがパパ」

「ますます危険が危ないネ」

「黙れ」

 もうお前らうぜえ、黙ってろ。

「もう、3人とも聞いて!」

「おう」

「ウィ」

「はい」

 娘に叱られた。


「あんたたちに、街の防衛を任せたいのよ」

「あぁ、チハヤママ! 私が言おうとしてたのに」

「防衛?」

「今回魔物たちが現れた街外れ森、あれって大陸の端っこにある『魔境』って言うの。」

 出た異世界テンプレ展開、『魔境』。

「あ~、その流れなら、この街って大陸最果ての街って感じ?」

「よくわかったわね、それも物語のお約束ってやつ?」

「うん。ちなみに魔境の開拓って全然できてないってパターンじゃ?」

「そうなのよ。魔境どころか、この街自体もね。地形的に魔物が流れてきやすいの」

 人類対魔物の最前線ってことか。

「ならミッションとしては、街の防衛をして、街や魔境の開発を手伝うって流れか」

「そもそも魔境の奥には竜の巣があるから手を出したら駄目。さすがに全ての竜を駆除ってのは、あたしも自重したわ。話せる竜とかいるかもしれないと思って」

 自重してくれてよかった。確かにテンプレ的にありえる。俺でも、世界全ての竜を駆除とか、さすがに考える。人にとって友好的な竜もいるだろうし。


「あっ、1つ訂正するわ。最果ての街・エデンは、『街』ではなく『国』になったのよ」

「ん?」

「どういう事ですか、母様?」

 キョウヤも知らない?

「あたしやヒソカが街を離れてたのは、王都に行ってたの。このままじゃこの街、じり貧で潰れそうだったから。直接、国に交渉しに」

「やはり駄目でしたか」

「そういうこと。魔境の素材は欲しいけど、支援や街開発で赤字。国はこの街を捨てたのよ」

 なるほど、そういう展開か。


「だからどうせならと、この街を独立させて、『帝国』とは別の国として扱わせたの。そうすれば他の国に、支援までいかなくても交流を許してもらえるかもって」

「姉さん、『帝国』って隣国と上手くいってないの?」

「好き勝手やってたのよ、日本の戦国時代みたいに。大国だから人材が足りなくて、その人材を他国から奴隷として仕入れてたの。まぁ、そのせいで他国は国交断絶。もし帝国が隣国の1つに手を出したら、その隙に他の国が帝国を襲うくらい恨まれてるわよ」

「よく帝国もってるね」

「資源とか生産とか豊富だから、他国を頼る必要がないのよ」


「いやぁ、まさかの国を興す前にできてた展開ネ!」

「この街、じゃなかった国? を発展させればいいんだね」

「んじゃやるか。まっさらな状態なら好き勝手しやすい」

 軽く言う俺たち3人に、姉さん以外が目を見開いていた。


「レイジさん、やってくれるの!」

「おう、パパに任せろ!」

「レイジ、キモいネ……」

「その顔、なんとかしなよレイジ……」

 タケルとカズマが何か言ってる。俺のどこがキモいんだよ。


「レイジは子煩悩になりそうね」

「ふふふ、そうね。いいパパになると思うわ」

 姉さんとミスティーが微笑ましく見ていた。解せぬ。


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