第10話 10話 姫巫女

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「……凄い住民たちだな」

「みんな鍋やお玉で武装してるね」

「子供も戦う気満々ヨ!」

 それにしても、視線がうっとうしい。武装した住民たちが、キラキラとした目を向けてくる。悪気はないんだろうが、居心地悪い。

「最初から好感度MAXネ」

「街を護ったから、こんなに受け入れて貰えたんだと思うよ」

「こりゃ、お偉いさんたちとの話しさえ上手くいけば、すんなり計画進められるかもな」


「姫巫女様だ!!」

「帰ってこられたぞ!」

「姫様!」


「姫巫女?」

 お偉いさんが戻ってきたのだろう。住民たちが嬉しそうに騒ぎ出した。

「試しに会ってみない? 人気ある人みたいだし」

「計画の交渉ネ。味方にしたら最強そうヨ」

「とりあえず行ってみるか」

 このとき、心の準備をしていなかった俺は、姫巫女の姿を見て思考停止した。


    ◇    ◇


「母様! 姉様!」

 20代前後の和風巫女と、10代後半の少女。

 見た目が20代前後の女性が、10代後半の青年に母と呼ばれるのには違和感がある。だが、街の誰もが見慣れたもので、微笑ましく見守っている。

「キョウちゃんただいま!」

「キョウヤ、状況を」

「先行のゴブリン襲撃時、街に来訪者が。その方たちがゴブリンたちと交渉、戦闘を回避。ゴブリンは森へと帰りました」

「ゴブリンを交渉? 後続はもう来たの?」

「はい。来訪者の方たちのみでオークキング率いる部隊を撃退しました」

「そう。その英雄たちはどこに?」

「すみません母様! すぐにこちらに来たため、確認してません」

「ポルコは?」

「呑みに行きました」

「あの男、どんだけ頭が悪いのかしら。普段動かないんだから、こんな時くらい動いてもいいものを」

 静かに怒る女性。その姿に脅えるキョウヤとヒソカ。

「母様、まずは来訪者の方々を」

「そうだよチハヤママ! 街の力になってもらえるかも」

「そうね、あの男の処理はまた後で」

 ご愁傷さまです、とポルコへ祈る2人の子供たち。

「…………」

「母様?」

「チハヤママ?」

 動きの止まったチハヤを、心配するキョウヤとヒソカ。

 チハヤの視線を見ると、3人の男たちがいた。見た目は20代前後で、緑色の見たことのない服を着ている。

「母様、あの方たちです。街を救ってくれたのは」

 すると突然、チハヤは歩き出し……



「……久しぶりね、レイジ」

「……姉さん」

 1人の男と抱きしめ合った。


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