第5話 5話 倒してしまっても構わんのだろオゥ?

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「ヴァルキリーズ、ティータイムの時間だ」

 俺はスマホをとりだし、〝乙女たち〟へお茶会の誘いを入れる。


『承認デス。来賓は?』


「目標は、お菓子やサンドイッチたっぷりのケーキスタンド。マナー違反で食い散らかす『お客』が多いらしい。お前たちにはお客の掃除、もしくはお菓子がこちらの物だとわからせてやれ」


『承認デス。広範囲防衛戦で準備を』


「あっ、ミーも出るネ!」

「僕も〝ライフル〟で参加しようかな」


「あぁ~、どうやらお前たちの過保護な親父たちも参加らしい。きちんとドレスアップして、淑女としてふさわしくするように」


『承認デス。最終ラインを除く、一部限定解除を』

「うん、よろしい。タイミングは全てそっちに任そう」



「……いったい、どうなってるのですか?」

 冒険者風の青年が疑問を浮かべる。

 そりゃそうだ、いきなりスマホなんて見たこともない物をとりだし、1人ぶつぶつ話しはじめてる俺は、変な人間認定だろう。

 ゴブさんたちも、俺たちの説得で戦いを止めてくれてるしな。


「ゴブさんたちは、先行部隊らしい。本命の集団がこれからくる。悪いがそいつらは俺たちの獲物だ」

「僕たちが倒した魔物は、そちらに全部お譲りしますので」

「そうネ! ミーの娘たちも来るヨ、もっと安心ネ!」


「待て、たった3人で何ができる! 確かにゴブリンたちを止めてくれたのはありがたい。だが、ゴブリンみたいに止めれるわけじゃねぇんだろ? 自殺志願ならよそでやってくれ」

「僕たちも街を護らなければならない。不確定要素を認めるわけにはいけません。もし本気で地位や名声手に入れようと思ってるなら……、あなたたちは〝英雄〟を舐めてる」

 ツッコミ冒険者と青年に本気で止められる。

「まぁ、命かかってる状況で、初対面の人間に任せられるわけないわな。」

 信用なんてできるわけないだろうし、上手く妥協案だしてこっちに譲って貰おう。

「安心しろって言っても無理だろうが、俺たちは死ぬ気もなければ、英雄願望もない。地位も名声も金も女も」

 というより、


「――てか〝英雄〟なんて一番興味ないわ」


 そんな疲れるもの、欲しいなら誰かにあげるに限る。

「……興味がない、ッ」

「……」

 なんだ? むしろこの青年こそ、英雄願望でもあるのか? 冒険者のおっさんが青年を見守るような視線を向けてる。

「なら何故そんな断られるとわかりきったことを? あなたたちの目的はなんですか?」

 先ほどの取り乱しを抑えて、冷静に会話を戻す青年。

「僕たちが最初に乗ってきた〝乗り物〟、あのような珍しいものがたくさん有ります。今回はその中でも強力な武器を出そうと思っているのです」

「ミーたちが最初に特攻して、駄目ならユーたちが戦う。これならどうネ?」

「「……」」

 カズマとタケルの案に悩んでるようだ。

 他の冒険者や兵士たちも混ざり、視線で確認を取り合っていた。


「わかった。お前さんらに時間を稼いでもらい、こちらは撃ち漏らした少ない敵を安全に処理。万一のときは退却してもらい、全員で防衛戦。」

「それなら、こちらの当初の予定と変わらないので問題ありません。元々、応援が来る手はずになっているので。より時間が稼げそうで助かります」

「ふっ……」

「「?」」

「――笑わせてくれる」



「〝倒してしまっても構わんのだろオゥ?〟」

「あっ、ずりッ! 俺が言おうとしてたのに!」

 くされ金髪/タケルにとられた!?


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