第9話 嫌われる勇気

土日を経て訪れた朝は、いつもと違う。私は今日学校にいって、変わらない毎日に終止符を打とうと決めた。


震える手に力を入れ、教室のドアを開け「おはよう」といつもの輪に入っていく。


「皆んなに話したいことがあるの」


そう口にした私を皆んなが注目していて、声が震えた。


「私、実は意外と本が好きみたいで、騒がしいのより静かで落ち着いてる方が好きみたい」


「え、どした急に」


皆んな苦笑いで、何言ってんだこいつみたいな表情をしていたけど、そんな事は気にせず私は続けた。


「ドラマとか見ないし、芸能人とかにもあんまり興味ない。だから皆んなに話合わせるの正直、きつかった。でも、そんな事言ったら皆んなに嫌われるかもって、怖くて言えなかったんだ」


「それを私たちに言って、どうするの。そうだったんだ、気づかなくてごめんなさ。

いって言って欲しいの」


「違う。皆んなが悪いとかそんな話じゃなくて、ただ、私自身知らなかった好きなものとか教えてくれた子と、一緒に居ようって決めたから。だから、お礼を言おうと思ったの」


「お礼?」


「うん。今まで一緒にいてくれて、ありがとう。それと、急に自分の気持ちを一方的に押し付けてごめんなさい」


そう頭を下げる私に「くだらない」「超自分勝手じゃん」「もう行こ」と言う声が降ってきたけど、今の私は大丈夫。だって嫌われる勇気をもらったから、春乃に。


あの日から春乃とは教室でも話すようになり、高校に入学してから三度目の冬を迎えた。

私達は今日、ここを卒業する。

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