第4話 眩しい世界

私は、特別本が好きな訳では無い。面白そうだなと、興味の引かれるものがあれば、気まぐれに手に取るくらいだ。だから、毎日のように本を読んでいる今の自分を少し前の私は、想像もしなかっただろう。

こんなにも変わったのは、春乃と出会ったせい。

私の日常に少し、色が付いたのも、春乃と出会ったせい。


沢山の本に触れて、本は不思議だと感じた。


分厚い扉を開くと、そこには私の知らない世界が広がっている。

全く知らない世界なのに、自分がそこに居るかのように嬉しくなったり、時には悲しくなって、どんどん腹が立ってきたり。感情がぐるぐると変わっていき、一ページ、一ページに"その時"が存在して、ちゃんと時間が進んでいく。そんな本の世界が、私には眩しくて、羨ましくて、どうしようもなく、逃げ出したくなる。


これ以上、輝かしい世界を見てしまえば、もう、戻れない気がして_。


一度色を知ってしまえば、白黒では物足りなくなってしまう。もっと、もっと色を知りたくなって、自分の世界にも、沢山の色が欲しくなる。

初めから知らなければ、欲しくもならないのに。

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