第5話「Blue Sky」
次の日の朝、私はいつもよりもかなり早めに目を覚ました。
私は他人よりすごいものを得て何をしたかったんだろうか……。
そんな自問自答を昨日から繰り返していたが答えはいまだにでていなかった。
(朝早く起きてやることもないし、空でも少し飛んでみるか……)
そう思い、私は家を出た。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
上を見渡すと、空の青さと朝日のオレンジ色とが入り混じっていた。
私はいつものように空へと飛び立った。
早く起きたせいか、かなり眠かった。
寝ぼけ眼をこすりながらただ空を飛んでいた。
眠いせいか、初めての敗北を経験したせいかは分からないが、いつも心にあった焦燥感や義務感といったものをあまり感じなかった。
私はただこの身に風だけを感じて空を飛んでいた。
それがなぜだか妙に心地よかった。
なぜ私は他人と自分を比べていたのだろう。
この大きな空の前では他人と自分を比べることなど、なんだかちっぽけなことのように思えた。
なぜ私は空を飛んでいたのだろう。
ふとそんなことを思った。
今までだったら誰にも負けないすごい自分になるためと答えていただろう。
――でも、今は違う答えが欲しかった。
私はただ何も考えず、風だけを感じて飛んでいたい。
私はそんな答えでもいいと思った。
そう思い、私はいつものように速度を上げてまっすぐ飛んだ。
でも、いつもとは違い心には清々しさがあった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そんな清々しい気持ちを抱えたまま学校へと向かった。
私は部活ができる放課後を楽しみにしていた。
そして放課後、部室に行く途中で彼女に会った。
「こんにちは!ブルーちゃん!!」
彼女は昨日と変わらず笑顔を振りまいていた。
そんな楽しそうな彼女の姿にもうイライラすることはなかった。
そして、ブルーちゃんと呼ばれるのも今となってはむしろ心地良かった。
「……こんにちは。……ウィンディちゃん」
私はわずかながらの笑みを彼女に返した。
「!?」
彼女は驚いたように私の顔を覗き込んできた。
「ブルーちゃん……、自分の名前を呼んでくれて嬉しいです!!!」
そういって彼女は急に抱きついてきた。
「ちょっ!」
そんな急な彼女の行動に驚いたものの、嬉しそうな彼女を見ていて私も嬉しくなってしまっていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そんなこんなをしているうちに部室へと着いた。
私は早く空に飛び立ちたくてしょうがなかった。
「ブルーちゃん!自分と一緒に飛びませんか?」
「……うん!飛ぼう!」
私たちは二人で空へ飛びあがった。
あのどこまでも広がる青空へと……。
<Fin>
あの高く輝くあの空へ ーBlue Skyー @Redytha
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