第2話「出会い」

月日は経ち、私はレティシア高校に入学した。

 レティシア高校はMagic Broomの強い高校だった。

 その強さの理由はあの彼女がコーチとして在籍しているからに他ならなかった。

 この高校に入るため、苦手な勉強もなんとかこなしギリギリ合格することができた。

 そして今日、やっと体験入部をすることができる。

 私は退屈な授業をこなした後、Magic Broomをしている部活動、MB部の部室へと向かった。

 MB部に向かう途中、不意に後ろから声をかけられた。

「あの、あなたもMB部に行くんですか?」

 その陽気な声に対応するため、後ろを振り向いた。

 声の主は淡いエメラルドグリーンの長い髪、碧眼の少女だった。

 私とは逆の見た目、あまり明るいとは言えない私とは正反対の明るい性格というのが彼女の第一印象だった。

「まあ、そうですけど……」

「よかった!ここで会ったのも何かの縁ですし、自分と一緒に行きませんか?」

「……わかりました。」

「やったー!いや~自分、一人だと少し心細かったんですよね~。自分、フロランス・ウィンディと言います!みんなからはウィンディって呼ばれてます!あなたの名前を教えてもらってもいいですか?」

「……マルグリット・ブルセーラ」

「ブルセーラちゃん、じゃあブルーちゃんって呼びますね!」

「なっ!?」

 ブルーちゃんか。ブルーと今まで呼ばれることもあったが、ブルーな気分になってあんまり好きじゃなかった。

「それじゃあ、MB部の部室に行きましょう!ブルーちゃん!!!」

 有無を言わさず、私はブルーちゃんと呼ばれることになってしまった。

 そして、成り行きでこの人と同行する流れになってしまった。

 私が憧れ、私にはないものを持っていそうな彼女のことをあまり好きになれそうではなかった。

 そんな彼女に嫉妬する私のことがなによりも嫌いだった。

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