第14話 キャベツ
「豚殺ろす!テメェ殺す」
メキルは蔓に巻き付かれる人々の蔓を次々斬り豚の魔獣に少しまた少しと近付いていた
「やっぱ彼奴は手強いな」
豚の着ぐるみを着ているおっさんは苦笑いぎみな表情でぼやいていた、ぼやく間にメキルが迫ってきていた
『おい、魔力がヤバイぞ!』
「わかってる、メキルだが、お前の敗けだ!」
豚は頭の中に響く声に鬱陶しいと言っているような声で答えメキルに言葉を叫んだ、だが、視線はメキルから逸らさずに芽を張り巡らせていた
「うるさい豚野郎!死ね!燃え散れ、クリアマグマ!」
メキルが剣を離れた場所から豚の魔獣目掛けて横に振り放った
「遅い!」
豚は体の横からダイヤモンドのようにキラキラと輝く蔓を出しメキルの見えない懺悔を受け止めた
「まだだ!」
メキルは驚き目を見開いたが、また遠くの者を斬るように上から振り下ろした
「遅いってんだろ、ほら、つかまえた」
「なっ!」
豚は蔓上に伸ばしメキルの攻撃を防ぎ、地面から伸びた太い蔓の真ん中に人間が居た、蔓を口や手足に巻き付けて動けず叫べないように蔓で縛り、人間を蔓で拘束していた
「うぅんぅうぅぅ!」
声にならない声を必死に出して助けを請うような表情を浮かべた兵士を見たメキルが彼を人質に取るのかと冷や汗を流したが、豚の魔獣は兵士の人間を見て
「蔓よ包め!」
「うぅぅぅぅぅ!」
「やめろ!」
豚は冷たく低い声で叫び、人間の兵士は恐怖の顔に変わりもがき叫びを上げた、メキルは嫌な予感をして叫んだ
「人間はエサだ!」
豚は叫びと共に蔓が薄い葉のように変わり人間の兵士を包んで折り重なって言った、やがて叫びは聞こえず、葉が捲れていき、そこには先程の兵士を型どった人形のキャベツが立っていた
「な、なんだそれは」
メキルが言葉を驚きで吐き、それに答えるように豚の魔獣が言い放った
「人間キャベツだよ!」
豚は人間キャベツの胸に腕を突き刺した
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