第2話 前に
「なんなんだこれ、何なんだこの着ぐるみは!なぜ脱げない、この変な狼フードすら脱げないなんてなんだこれ!・・・」
離れた所から草木を掻き分ける音が聞こえてきた
「まだ追って来てるのか」
彼は急いで音とは反対の方に駆け出した
「クソクソう、まだ来てる何なんだアレは、誰だよ、こんな変な着ぐるみ着てるから狼と間違うのは分かるが、ひとの声聞いただろ、キチガイかよ」
彼は先を進みながら、怨み言のように呪詛を吐いていた
「かなり離れたのに音がまだ聞こえる、そんなに追ってくる連中は早いのか、なんでこんなことに」
すると後の音以外で前からも音が聞こえてきた
「ハア!前からも来てる、先回り去れたのか、何なんだよ!目覚めて森で何故か寝てるは、銃口を向けられるは、撃たれるは、追われるは」
彼は言葉の最後に動きを止めて、耳を澄ました
「・・・・・・・・・音の立ち方が前と後ろ違う、・・・前は人じゃない!」
彼は冷や汗を流し、どうするべきか考えていた
「どうするどうするどうする、ぶつけるか」
彼が考えて居る頃後では彼に発砲をした人間達が人数が更に増えて追ってきていた
「あの魔獣今仕留めないとまた村に被害が出るぞ」
「無理だ、逃げ足が早いあの魔獣は」
「いいや、まだ近くに居る、気配がするからな」
「そうか」
「とにかく追うぞ!」
彼らは更に歩みの速度を上げた
「どちらも近くに来たか」
彼は足跡を消し、木を足場にして木から木に移り近くの草が長くお生い茂る場所に身を屈めて隠れた
「前から獣が来たら彼らは終わりだろが、俺に話も聞かず銃口を向けて発砲した君達の身は案じなくて良いだろ」
月が雲に隠れて月明かりが雲で遮断され森の中は暗くなり出した、その頃足跡が後から近付いてきた
「ん、魔獣の足跡がない」
「おいおいうそだろ、ここまで来て」
「いや、それよりも、足跡を消そうと思える頭があることが問題だ」
「ますます今、どうにか仕留めないと不味いな」
「仕留めるもなにも魔獣の場所がわからないでしょ、もう無理ですよ追うのは」
「そんだよな~、もう無理だな~、無駄足になったな、帰るか」
「っ!静かにしろ」
「「「えっ」」」
「どうした」
「なにか音がする」
「音」
「本当だ、音が」
「聞こえるぞ」
「何処だ」
「前かだ!銃を構えろ!撃て撃て撃てぇ!」
指揮をしていた小肥りの男が銃口を音のする方に向けながら言葉を叫んで発砲した、それが合図となり他の者がそれに続き銃口を向けて発砲した
「殺ったか」
月が雲から顔を出して森の中を月明かりが照らし出した
「まだだ、撃て撃て!殺られるぞ!」
魔獣の犬がなん十頭以上の魔獣そこには居た
「「「「「グルルルルルル!」」」」」
魔獣の犬が唸り声を上げていた
「うわわわわ!無理だ逃げろ」
「キャーーー!」
「助けてーーー!死にたくない!」
「お前ら撃て!死にたくなければ撃て!殺らなきゃ殺られるぞ!」
彼らはバラバラになっていた、あるものは魔獣の犬に発砲して応戦するもの、あるものは一目散に逃げ出したもの、あるものは泣いているもの、あるものは魔獣の犬に喰われ叫ぶものが居た、混乱のなかで着ぐるみの彼はゆっくりと離れようとしていたが、彼の目に驚愕するものが移つった
「ハ・・・なんで、こんな所に子供が」
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