ヘスス主催緊急オーディション
クリスから呼び出され、いつものようにひっち過激団はひっちの家に集った。
「皆様、お集まりいただきありがとうございます」
「クリスたそのためなら女子更衣室の中、クリスたそのスカートの中!」
「あなたには言ってません」
クリスがひっちの言葉をバッサリと切り捨てる。
「ミッションということですが、どんな内容なんでしょうか?」
「依頼主はヘススさん、緊急度2、重要度4、難易度1となっています。何でも、勢力拡大のためのお手伝いをして欲しいとのことです」
たまさんの質問にクリスが淡々と説明をしている。
「これまたいびつだね。重要度に対して難易度がえらい低いし……」
「勢力拡大という大仕事の難易度ではない気が……」
たまさんとだーいしが重要度4、難易度1というところに引っかかりを感じている。
こういう時は難易度通りにいかないこともある、と。
「まあでも、ヘスにゃんなら大丈夫さー」
今回の依頼は『マフィアの世界』、ひっちは安心の表情を浮かべている。
「俺は簡単だったらそれでいいぜ」
かずやんが心配するだーいしとたまさんをよそに、ポツリと呟いていた。
「クリスさん」
「なんでしょうか?」
「ヘススさん僕らに何か言ってませんでしたか?」
「コホン、みんなを呼んでくれー、よろしく。だそうです」
「何の参考にもならなかった……」
たまさんが何か引き出そうとクリスに質問するも、何も引き出せなかった。
「大丈夫だよ、たまさん。ヘスにゃんがおれたちをだましたことなんてあったか?」
「初っ端からアジト襲撃だったの忘れたのかい?」
ひっちがのんきな発言をするので、たまさんがたしなめる。
「結局あれだよな」
「そうだな、そうなるだろうな」
かずやんとだーいしが頷きながら話をしていた。
「それってどういうこと?」
「「行ってみないと分からない」」
ひっちの問いかけにかずやんとだーいしが揃って答える。
そして、ひっち過激団はミッションへと赴く。
「みんなよく来てくれたね、待ってたよ」
ヘススがひっち過激団を出迎えてくれた。
ただし、場所がいつもの事務所じゃない。
全体が白一色で包まれてた広い部屋へと案内された。
椅子とテーブルが用意されているが、この広い部屋には正直不釣り合いだ。
「ヘスにゃん、これから一体何をするの?」
「よくぞ聞いてくれた! これから勢力拡大に伴う緊急オーディションを開催するんだ。俺たちの今後を考えて、優秀な人材を確保しておきたいしな」
「おお、そうなのか! どんな人が来るんだろ」
ヘススの説明を聞き、ひっちのテンションが上がっている。
「そしてそのオーディションにひっち過激団も参加して欲しかったのさ。これから一緒にミッションをやっていくかもしれないしな」
「俺たちで大丈夫なのか? 面接されたことはあるけど、したことはないぜ」
「あれだ、かずやん。
ヘススがかずやんを安心させるよう言葉をかけている。
そのヘススの言葉を聞いて図に乗る男がここに一人。
「ズバリ言うわよ!」
「そういう路線じゃないんだよひっち」
ひっちが何か勘違いしているようなので、たまさんが訂正する。
「そもそもなんですけど」
「どしたの、たまさん?」
「マフィアがこんなこと大々的にやってもいいんですか?」
たまさんの素朴な疑問が炸裂する。
「大丈夫だよ、募集は口コミでこっそりやってたんだから……」
「めちゃめちゃ闇を感じるんですけど」
マフィアの口コミという時点で危険な香りしかしない。
「類は友を呼ぶと言うからな。どうせ社会的にも裏の道しか歩めない落伍者共の集まりなのだろう」
「言い方よ!」
だーいしが余りにも辛辣な発言をしたものだから、ヘススがたじろぐ。
「おやおや、みんな揃ったみたいね」
「うひょー、ジョーンたそ! 色っぽくない?」
「いつもと着てるスーツが違うだけなんだけど……」
突然現れたジョーンの姿を見て、ひっちがやたらテンションを上げている。
ただ残念なことに、今回のスーツでは胸チラは期待できないだろう。
「それじゃあ早速始めようかしら。まずは一般構成員の募集からね。一人目の志願者の方、どうぞお越し下さい」
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