激闘を終えて

「皆様、本当にお疲れさまでした」

 元の世界に戻ってきたひっち過激団をクリスが出迎えてくれた。

「大変だったぜ、あんなミッションはもうこりごりだな」

「まだ疲れが取れていない気がするが、これが戦い抜いた証なのだろう」

 かずやんとだーいしが達成感に満ちた表情で語っていた。

「そうだ、クリスたそ。おれにご褒美ちょうだい!」

「ご褒美ですか、特に考えてはいないのですが……」

 ひっちが万遍の笑みにやらしさを込めた表情でクリスに迫る。


「チューしてチュー」

「チューではないですが、どうぞ」

 クリスがひっちに手を差し伸べる。

 これはいわゆる握手ということなのだろう。

「おお、クリスたそへの思いが通じた!」

 ひっちは嬉しそうにクリスの手を取った、その時だった。

「あばばばばば、しびればびれぶー!」

 クリスの手から高圧電流が流れ、ひっちは感電してしまった。

 流石に死なないように手加減しているのだろうが、クリスは容赦なかった。


「全く、エッチなことばかり考えているからですよ」

 クリスにしては珍しく笑顔を見せている。

「クリスさんの笑顔、初めて見たかもしれません」

「そうだな、今まで真顔ばっかりだったしな。いいことじゃねえか」

 予想外のクリスの笑顔にたまさんとかずやんが喜んでいる。


「とてもいいことだ。間違いない」

「そうでしょうか?」

「ああ、そのおかげか次のミッションが出てこなくなった。ディメンションワールドが平和になったということではないのか?」

「本当ですね」

 だーいしがスクリーンを見ながらクリスとディメンションワールドのことについて話をしていた。

 これでディメンションワールドは救われたのだろう。


「ねえ、お願いクリスたそ。パンチラ、パンチラでいい! ダメだったら胸チラ。いや膝枕、膝枕でいいからさ~」

「大佐は何で食い下がるのに要求難度が上がっていくのさ」

 ひっちの見苦しいまでの要求にたまさんがツッコミをかます。

 馬鹿馬鹿しいにもほどがある。

「ほらひっち、スクリーン見てごらんよ。僕たちがディメンションワールドを救ったみたいだよ」

「何、それはホントか?」

 ひっちが驚きの表情でスクリーンを凝視する。

 アダムスを倒した功労者とは思えないほどの驚きっぷりだ。


「やった、おれたちやったんだな! ひゃっほーい! だからクリスたそご褒美ちょーだい!」

「「「「まだ言うか!!」」」」

 ひっちが余りにもしつこいせいで、他のみんなから総スカンを食らってしまった。

 何と言うか、やっぱり相変わらずのひっち過激団がそこにいた。

 だが、それでいいのかもしれない。

 それでこそのひっち過激団なのだから。

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