第5話 特殊部隊「異能者」

 8年前、我々の世界に突如現れた。ゲートにより自衛隊の働きが重要視されるようになり多くの人が命を落とす中で自衛隊は国内の魔物たちを退治すらようになった。今では、「異能者」を集め、魔物退治を主に行う特殊部隊が誕生した。


 自衛隊から派生した特殊部隊を『異能武装特殊部隊』といわれるようになり、日本に新たに軍隊ができた。自衛隊とはまた別の組織として国家を守る働きを持つようになった。


自衛隊は、軍隊ではなく国家間の争いから守る働きだけでなく災害での救助活動も行われており『異能武装特殊部隊』との違いとしては、少数精鋭の部隊であり魔物退治に特化している点であった。

 

 多くの人々が、人を守る軍人に憧れを感じるようになり。自衛隊や特殊部隊に入るために多く者が軍の受験を受ける。


 

 福岡の中心部にある『異能武装特殊部隊第7部隊』個性的な人間に囲まりダルマは頭を悩ませていた。。


「メイちゃん。そろそろ返してくれない?そこ僕の椅子だからさ。」

「ヤダ!私も海斗さんの隣に座りたい。ダルマはいつもずるいぞ。」


頬を膨らませて飴をなめているのは、古川メイ。黒髪のツインテールを揺らす彼女は最年少で「異能武装特殊部隊」に所属された天才なのだった。まだ15歳という若さではあるものの群を抜いていいほどの力を保持している。


 扱いやすくはあるものの、前の部隊では傲慢な態度で部隊を追い出され、俺らの部隊に突如入ることとなった。コテンパンに海斗隊長がしたことで彼女の態度は少し軟化された。指示を聞くのは、海斗隊長がいる時に限るがお菓子を与えると基本話は聞いてくれる。


「メイちゃんのベビーフェイスが乙女と化してる。ハハハッ!」

「黙れ!ファシス!潰すぞ!」

「メイちゃん、こわーい。」


そう言って、メイちゃんをいじっているのは出身不明年齢は27歳ファシス・ブラウンだ。金髪に輝く髪と堀の深い顔が特徴的である。彼自身おちゃらけた性格のせいでメイちゃんはよくファシスに悪戯をかけ合うように仲になっている。


「今日、隊長遅いですね。」


 眼鏡をかけた、まじめそうな彼女は斎藤美咲(さいとう みさき)19歳彼女も相当な変わり者であり顔に見合わず相当の変人である。デスクの上はいつも骨やらゾンビやらで埋め尽くされている。どうしてこんなにも、色の濃い人間がこの部隊に集まるのかは謎である。


 俺は、部隊を隊長の代わりにまとめる副隊長という職に就いているが皆まともに俺の話は聞く気配がない。


そんな騒がしい毎日だが仕事はいつも唐突に始まる。


【ザザザ_、奈幡にある南中学校にゴブリンの魔物の出現が確認された。至急出動を願う。ザザ_】


 軍司令のアナウンスが始まった。おちゃらけた雰囲気も変わり真剣な面持ちで支度をする。ここでは、死がいつもついてくる仕事だから警戒は解かない。それが、軍事学校で学ぶ最初のここだろう。



「今いる、人数で出動だ。至急ヘリに乗るように。」


数分で支度を終わらせ、急いでヘリで南中学校へと向かう。ヘリの中で状況を、聞こうとしたがまだ突如のゲートの出現により中学校の内部の状態は把握しきれていないようだ。


「現状、まだ把握しきれていません。火事も起こっているようで消防と警察が今向かっている様子です。また、情報が入ったら報告します。」


10分もしないうちに、南中学校に到着する。しかし、上から確認した分にはゴブリンの姿は確認できない。それどころか、グラウンドに生徒たちが集まっているではないか。


「何?どいうこと??」

「とりあえず、降りようか。」


 ヘリからグラウンドに橋を下し降りていく。生徒たちが何事かというようにこちらを覗き込んでいる。注目を浴びる中、先生らしき人物に話しかけることにする。


「先生でしょうか?」

「えっ、はい。あの、どうして軍の方がこちらに?」

「ゴブリンが現れたと通報を受けまして。」


 どうやら、先生も動揺を隠せていないようだった。それどころか、ゴブリンという言葉に理解が追い付いておらず戸惑っている。


「はあ~、すみません。見ての通りただの火事でしてゴブリンなんてものはいいないです。」


悪戯の通報なのだろうか、さすがに最悪のいたずらだな。同じ事を考えていたようにメイが話しかける。


「おいおい、ダルマこれはひどいな。悪戯にしたら最悪だな。」

「すいません。生徒が通報したなら厳重注意をしておきます。」


先生は丁寧に頭を下げる。


「頭を上げてください。何事もなかったならよかったです。」


 現状を把握したのち、ヘリに戻るよう指示を出す。その時、数人の生徒がこちらをちらちらと確認するように別の場所に移動しようとしていた。動いていた方向は、学校に戻ろうとしていた。


他の生徒たちは、グラウンドから避難するように消防の方たちから言われていた。炎を消している消防署の方々達を横目にヘリに戻る準備をする。


ヘリがグラウンドの中心に降りてきた時だった。ガラスの破裂音とともにゲートが現れた。ゲートから現れたのは、ゴブリンだった。


「ワーオ。次は、本当に表れたね。ダルマ君どうする??」

「皆、すぐに戦闘態勢を準備!!!」


 ゴブリン単体の力はそれほどない。魔物の中でも最弱の魔物だといわれている。だが、問題は集団で行動し集まれば集まるほど脅威となりえ、逃げられれば繁殖を繰り返すことだ。この街中でゴブリンが繁殖でもしたら大事になる。殲滅は絶対だ。


 初めに動き始めたのは、メイだった。装備された二つの短剣を握りしめて素早い動きでゴブリン達に向かっていった。それに続くそうに、美咲とファシスが攻撃に向かう。身軽な動きでゴブリンたちを一撃で倒していく。ゴブリンたちの攻撃なんてものは当たる気配を見せない。メイの周りには、無数の刃物が浮遊しており近づけば刃物がゴブリンを貫く。


「来てください。私のダブドル、ダイアナ。」


美咲がそう呟くと、影から全長2メートル程の狼2匹が現れた。大きな巨体で遠吠えを上げる。耳が痛いくらいの声量に周りも驚きの声が聞こえた。


しかし、そんな事を気にする事もなく美咲は2匹の頭を撫でる。


「あいつらで遊んで来ていいよ。」


美咲が指を刺す方向には、ゴブリンの群れがあった。指示と共に、2匹は待っていましたというように猛スピードで走っていった。ゴブリンをおもちゃのように食いちぎっていく。美咲は、その光景を見ながら笑みを浮かべた。


 「ダブドル、おいで。」


ダブドルは、足音を立てずに美咲のところへと急いで駆け寄る。美咲は、オオカミの上にメートルほどのジャンプで乗る。


 俺は、生徒や先生の非難を最優先すべくまだ逃げれていない彼らに避難をする指示を出す。


「皆さん!早く逃げてください。」


生徒達が一斉に走り逃げていく。悲鳴を上げるものも泣き声を上げるものもいた。しかし、先生が生徒達を誘導してくれたおかげで時間は掛からなそうだった。


 少し前まで生徒達は学校の外に出ていたものも多かったので避難は速やかに終わらせる事ができた。 


しかし、避難させるのは消防士の方も例外ではない。火を消していた消防士にゴブリンが襲い掛かろうとしていた。


「はい、だーめだよ〜!」


ファシスは、銃を使い完璧にゴブリンの頭を撃ち抜く。30匹ほどいたゴブリンだったが、3人の働きであっという間に半分を削っていた。


「消防士の皆さんも逃げてください。」


 消防士の方達も速やかな行動をしてくれ、グラウンドにはゴブリンと俺達しか居なくなった。


 逃げようとするゴブリンもファシスト俺で倒していく。美咲は、愛犬達に乗って一緒に遊びながらゴブリンを倒していた。


「ファシス、俺美咲ああゆうところちょっと怖いわ。」

「何言ってるんですか?ダルマ君も変わらないですよ。体型とか。ワハハハハ」

「それ、ディスってるよな。俺が猛獣と一緒っていてるよな?」


ファシスの言葉にイラつきを覚えながらも、ゴブリンを潰していく。


「いや、事実だと思うなぁ〜。だって、肉体だけで戦うのちょっと猛獣じみてるし。ワハハハハ」


 俺の戦闘スタイルは武器を使わない拳だ。しかしそれは、俺自身武器を使うとすぐに破壊をしてしまうためであった。


 だが、猛獣と評されるのはちょっと侵害だ。後で、ファシスを締めておくことを考えてるうちにゴブリンの退治は終わりを迎えていた。


「もう終わっちゃたね。ダルマさんこの死体持って帰っていい?」

「いや、ダメだから!」

「ダルマさん~」


キラキラとしたお目目をコチラに向けねだるように手を合わせている。しかし、個人的に持って帰られても変わるのは俺だ。上司からなんと言われるか。


「本当にダメだからね。ゴブリンの頭を握らないで。」


切実なお願いに、美咲もしぶしぶといった感じて聞き入れてくれた。


「あれ?ダルマ君なんかゲートまだ開いてるんだけど。これまだ、敵いるくね??」

「まじで。」


ゲートは、敵が出てきてすぐに閉じるのが恒例であったがゲートが閉じていないということはまだ敵の出現があり得ることを示す。


 ゲートから三匹の赤い帽子をかぶったゴブリンが出てきた。不敵な笑みを浮かべ先ほどのゴブリンとは比べられないほどの速さで美咲へ襲い掛かった。しかしもう一匹は、学校の方へと足を進める。


「何こいつ。初めて見た。」


 素早い速さで繰り出される攻撃だったが、美咲は簡単に攻撃を跳ね返す。先ほどまで握れれていなかった青く光る剣で切り返していく。二人からの攻撃を華麗に躱したすきを突くように赤いゴブリンは切りかかるのをやめない。


 その瞬間を見計らったようにファシスは銃を撃つ。


「ちょっと、一瞬焦りましたよ。美咲さん大丈夫ですか?」

「うん。全然大丈夫。ダルマとメイちゃん、あっちの帽子のゴブリンよろしく。」


二匹の赤いゴブリンを美咲たちに任せ、俺らは学校に逃げたゴブリンを追いかける。



  

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