第6話 作戦実行
「...ちゃん、お兄ちゃん!もうちょっとでポイントだよ。気を付けて」
「お兄ちゃん。あのおもち...じゃなくて無線誘導式四輪デコイを出して」
「私がデコイを誘導するから、お兄ちゃんはワイヤーランチャーの準備をお願い」
ブロロロロ
「大丈夫、先生の作戦なんだから上手くいくって」
「随分先生のことを信用してるんだねって?そうね先生は私の神様みたいなもの。最初は赤ん坊みたいな私に色々なことを教えてくれたの」
「昔はこの世界に今よりもずっと自然があったけど、人間たちすっごい大きな喧嘩をしたせいでこんなに寂しい世界になっちゃったこと」
「残った人達で”壁”の中に街を作って頑張って生きていること。街の外で、昔の命令を守って今もさ迷っている機械さんたちがいること」
「うん、後はね。先生が働いている施設の人たちのことも。もちろんお兄ちゃんのことも教えてくれたよ」
「う~んと、頑固で人付き合いが下手で、貧乏くじばっかり引いてるけど、面白い人だって」
「あとは、綺麗なアンドロイドの女の人と付き合ってるって」
「ちょっと!急に変な声を出さないでよ!」
「別に恥ずかしがらなくてもいいと思うよ。だって今もその人のために危険なことやってるだし」
「それにその人は私にとってのお姉ちゃんみたいなものなんでしょ?ねね、今度ちゃんと紹介してよ」
「やった~!お姉ちゃんに合うの楽しみにしてるね!」
「え?私と先生の関係?う~ん、私にとっての先生は今はまだ遠い憧れの人かな。ほら私ってお兄ちゃんたちと違って実体を持たない架空の存在だもの。だからお話ができるだけで幸せなの」
「でもね『いつか君に本物の体を作ってあげるよ』って約束してくれたの。それを聞いた時には本当に嬉しかったな。自分の体ができたらね、先生の隣で研究を手伝ってあげるの。それが今の私の夢」
「とてもいい夢だって?ありがとう。お兄ちゃんならそう言ってくれると思った」
...ゴゴゴゴゴゴ
「...ッ!」
「来たみたいだね。準備はいい?お兄ちゃん!」
グオォォォン!!!
ーーーーー
プシュウウウ...
「はあぁぁぁ~~!」
「何とか倒した...のかな?」
「コイツお兄ちゃんが照準を合わせた途端、急にデコイをほっぽりだしてこっちに来るんだもん!まるで気配でも読まれてたみたい...お兄ちゃんが一発で急所に当てなかったらどうなってたことやら」
「でもウィルスが効いたからコイツはもう動けないよ。さあ、バッテリーを持って帰ろ!」
「...」コクッ
ガンッ!ガンッ!シュウウウウ ガコッ!
「よしっ、バッテリー確保!心配したけど案外チョロかったね。」
「やっぱり先生の作戦と私たちの連携のおかげだね。お兄ちゃんもすごかったけど私も頑張ったんだから、後で報告にちゃんと書いておいて...」
グオオオオン!
「お兄ちゃん!危ない!」
「...ッ!」
ドゴッ!
「お兄ちゃん!しっかりして!お兄ちゃん...!」
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