第27話 過去を記したとされる古文書
「では、今日の授業はこれで終わりとします」
元気なく終業の挨拶を済ませる
「今日の先生、何だか元気なかったね」
「そっ、そうだな……」
いつもと違った
「ところで、
「いや、今日はちょと用事がある」
本来なら授業が終われば広場へ向かい、体術の修練に励んでいた
「
「いいのよ、気にしないで。形あるもの、いつかは壊れるって言うでしょう」
宝珠の責任を問われ、間違いなく叱られるに違いない。
「でも……」
「ありがとう、ほんとに大丈夫よ。そうやって、気にしてくれるだけで十分。それすら、感じない子もいるみたいだからね……」
「でしたら、先ほどの宝珠を少しだけ見せて貰うことはできないでしょうか」
「……いいけど、一体どうするつもり?」
亀裂の入った宝珠を、まじまじと見つめる
「はい。それは亀裂がどれほどか、状態を見させてもらうだけです」
「まぁ、それぐらいなら差し支えないかしら」
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます。では、確認させて頂きますね。えっと……少々欠けてはいるが、幸いにも割れてはいないようだ。よし! これだったら、どうにかいけるかも知れない」
「どうにか?」
「あっ、いえ、単なる独り言です。それよりも、この宝珠を二日だけ貸しては貰えないでしょうか。無理であるなら一日でも構いません」
「そう言われてもねぇ、規則で決まっているから」
必死な様子で懇願する姿に、
「そこをなんとかお願いします! ご迷惑は絶対にかけません」
「どうしようかしら……亀裂の入った宝珠なら問題ないわよね。じゃあ、分かったわ。ただし一日だけよ」
心憂い様子で訴えかける
「――本当ですか、ありがとうございます。これで自分の心も晴れるというもの」
「それにしても、不思議な子よね。宝珠をどうするか知らないけど、なぜか貴方にお願いされたら断れないわ」
本来であれば、戒律に厳しい
「じゃぁ、
「僕のことなら大丈夫だよ。今日は書庫で本を読むことにしていたからね」
講義が終われば、自らを高めるため特訓を行っていた
「じゃあ、ちょうど良かったよ。っていうか、今日はやけに嬉しそうだな」
「そうなの、やっぱり分かる? じつはね、凄い書を見つけちゃってさ」
「凄い書?」
「うん。多分、過去を記した古文書じゃないかな?」
前日、書庫で調べ物をしていた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます