第23話 個々の能力を高めるために
世の時は、寺院堂の鐘の音が二打を鳴らそうとする頃。憩いの場から、ほどなくして教室へとたどり着く二人。急いで自らの席へつくと、授業を受ける準備を始める。
「良かったな、
「うん。多分、あれじゃない。今日は詠唱の授業をするって言ってたから、管理室へ
「管理室? そっかぁ……
「そう。色々と承認がいるからね、借り受けするのも時間がかかるみたい」
「ふーん、そのお陰で怒られずに済んだってわけか」
「そういうこと。でも先生は時間に厳しいから、直前だと怒られてたかもね」
午後から始める授業はどの組みも同じ時刻で始まり、
とはいえ、
これにより僅かな時間だからと、仕方なく従う院生達。けれども、この施策が功を奏したのだろう。どの組みよりも、優れた結果を生み出した。というのも、心技体どれも
この結果には院生達の技量もあると思うが、少なからず
「でもさぁ、それはそれで不公平だよな。
(るっ、
噂をすれば影がさす。人数分の宝珠を持ち
「んっ?」
「おや? 何か聞こえましたが、気のせいでしょうか。ねえ、
そこには蔑むような目つきをした
「――いっ、いつの間に⁉ えっと……さっ、さすが
「それよりも、少し時間が押してしまいました。直ぐに午後の講義を始めますので、始業の挨拶をお願いします」
突然の状況に驚きを見せるも、そこはいつものように言い訳を並べる
何故なら、何事も几帳面で理想を追求する
「分かりました
終礼のとき同様に、開始の挨拶を始める
「全ての教えに感謝を唱え、全ての人に慈悲を与えよ。この世に生まれた希少な魂、有り難い想い
開始の挨拶を済ませた
「はい。それでは、午後の部を始めたいと思います。内容は午前の授業でも少し触れましたが、四大元素の水についてです。中々、教典の読み上げだけでは、感覚の方も掴みにくかったかも知れません。そこで、午後の部では実際に宝珠を使って顕現して見ましょう」
この言葉から言えること。どうやら教典だけだと、元素を顕現させるのは思った以上に難しいのだろう。宝珠を持ち得て詠唱することにより、初めて実現可能となる事柄。
こうした理由から、どちらか一方では使用困難な代物。小さな宝珠ではあるも、見かけによらず重く運びづらい。ゆえに、幾つもの数が集まれば、流石に個々へ配布す時間もそれなりにかかる。
これでは押した分の短縮にはならぬ。そう言いたげな顔つきで、院生分の宝珠を持ち得て
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