第9話 五つの家柄
このような安らぎの気持ちを与えてくれる憩いの場。樹々や咲き乱れる草花の中を、心地よい香りを乗せた
「懐かしいですね、
「それ、口癖か? ここへ来るたびに言ってるぞ」
庭園内を彩る情緒豊かな
「だって……あの時のことがなければ、僕はずっと一人だったかも知れないからね。奇妙な出会いだったけど、いまは信頼できる仲間だっている。そうでしょ、
「
過去を懐かしむ
「どうしたんですか? そんな変な顔で僕を見て。――って、それはいつもの事でしたよね」
「あはは、そうだな。けど、
一体、何が嬉しかったのか分からないが、珍妙なやり取りを笑いながら話す
本人がいうように、今まで
そもそも、こうした人格形成に至ったのは、ある理由が考えられる。それは家柄が少なからず関係していると言えるかも知れない。順を追って説明するならば、この大陸を治める名家は四つ存在していた。
家格の序列は上からこのように分類される。
【
こうした四家である名門が存在し、
このようにして千年前の時代、
更に下位の存在には、名家を補佐するべく五つの家柄があった。
【
この者達は
つまり不測の事態ともなれば、身命を賭してでもお守りするのが定め。そんな理由から、それぞれの家系から次期当主を厳選し僧院で学ばせていたという…………。
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