第10話 人の下に人を造らず
こうした事から、主に選ばれるのは家系に準じた長男とされた。しかしながら、選別は過去のしきたりであり、今では学びの場として様々な者達が利用する。ところが、その風習は尚も根付いており、選ばれた当主の息子達は四家を余りよく思っていないようだ。特に
それは
そんな憂い悩む姿に、二人の聖人が声をかける。その者達は、天帝の想いを引き継ぐ導き者として、
この心に響く想いを受け入れる宗家の当主。私腹を肥やしていては駄目だと、財を
その序列とは……。
【聖人】人々を正しく教え説き、
【武人】役割を果たすべく穢れから民を守り、領民が安心して暮らせるよう努める。それは昼夜を問わず行い、常に民のことを第一に考え行動する。
【商人】貨幣の管理を行い、様々な商業によって経済を上手く回す。それにより得た利益の一部は、寄付に充て貧しい人々を助ける使命を負う。
【平人】農業を中心とした様々な作物を育て、食料難がないよう努める。また飢饉などにより全ての民が困らぬよう、備蓄を考えた生産を心掛ける。
こうした身分制度は、まず天帝の下に
この制度によって武人階級へ移行される五帝の者達。
助け合いの想いは、徐々に封建的な制度へなり替わろうとしていた。全ての人々を安寧に導くため作り上げた制度。それが原因で、周りに手を差し伸べていた人々の心には影が潜む。
自分よりも劣った者達がいれば蔑み虐げ、恵まれた者達を見れば羨み妬む。その状況は次第に激化し、行き場のない民達の手によって見えない階級が作られた。
それが異種と呼ばれた差別階級であり、人々が嫌うような屍の片付けや汚物処理を与えられる。こうした平民達からも忌み嫌われ、最も虐げられる者達が存在する事になる…………。
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