第8話 五感に触れる安らぎの場所
生い立ちや出会った経緯などを語り合う二人。話に花が咲き、いつの間にか
「はぁー、まさか教典を
「お帰りなさい。いい勉強になったでしょ」
放心状態の顔つきで、溜息混じりに呟く
「勉強というよりも、あれは拷問だね。それよりも、どうしたの二人して?」
「
「
「ええ、こっちは
「そ、そう…………」
「どうしたの
せっかく
「いや、別に
「じゃあ、なんで黙ったの?」
「それは……紹介されなくても同じ|僧院の組だから姓は知ってたよ」
「なるほどね。だから先生が呼んでいても、知らない振りをしていたのね」
今までに
「ごめん、ばれちゃうと
「
「だったら、こうしましょう。せっかくだから、謝罪と一緒に自己紹介というのはどうかしら」
「そ、そうだね」
「「――あっ、あのさぁ」」
「ふふっ、どうしたの二人共?」
「酷いよ、
よほど、その光景が可笑しかったのだろう。
「ごめんね、
お腹を抱える
「だってさ、
「僕の方こそ、はっきり言えばよかったです。そうすれば、
申し訳なさそうな表情を浮かべる二人。同じことを想い同様に反省していたらしい。
「ふふっ、おかしな二人。それにしても、
二人は俯いた顔を上げ、改めて心の想いを伝え合う。
「ごめんな、
「こちらこそ、すみません」
お互いを認め合い力強く握手をする二人は、今までの事がなかったかのように仲良く笑いあう。そんな些細なことがキッカケで友達となる三人。僧伽藍摩ではライバルでもあり、競い合いながら切磋琢磨して修練を行うことになる。
こうして二人と過ごしていく内、固かった
◆◆◆
――そんな三人達が学びを受ける場所とは……。
そこは
しかし、一概に過酷な修練場所ともいえないだろう。何故なら、周辺には庭園などの心安らぐ憩いの場もあり、緑豊かな草花や樹々が【五感】を楽しませてくれる。それは、聖職者から聖樹と呼ばれる存在である。如何にもといった大層な名前と思われるが、周りに生えた樹木と大差はない。
違いがあるとするならば、【
更に、聖樹には花の魅了からか、可愛らしい小鳥達が無数に集まり、疲れた羽をゆっくりと休める。その際に、【
これだけでも心を解放され、安らぎを与えてくれそうなものだが。もう一つだけ、幸せな気分にさせくれる要素が残されていた。それは樹々に宿る甘くて柔らかな実。一口食せば、【
どうやら、その樹木には不思議な力があるらしい。これが聖樹と呼ばれる本当の
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