第5話 蓮華の花
少し離れた場所から、指導者の
「おや、先生? そんなにも血相を変えて、どうされたんですか?」
「はあ? どの口がそう言っているの。どうしたかの前に、まずはごめんなさいが先でしょ!」
「えっ、なんで僕が謝らないといけないのですか?」
「なんで? それはあなたが蓮華の花をむしり取ったからよ」
少年の名は【
「――せっ、先生! ちょっと待って下さい。それは僕じゃないです」
「僕じゃないですって? そんな事を言っても無駄よ。その状況を見た子がいるんだから」
「だけど先生。僕は今さっきまで、書庫の中で本を読んでいたんですよ」
「本? だから何度も言ってるでしょ、生徒に聞いたんだから間違いないわ。『
威圧的な態度で迫られ、後ろへ仰け反り小さな声で呟く
「えぇーー、そんなぁ……」
「――で、どうなのよ!」
情けない声で言葉を発する
「すみません、先生。僕がやりました……」
「ほら見なさい。噓などつかずに、最初からそういえばいいものを。じゃぁ、こっちにいらっしゃい。今日という今日は許しませんからね」
自分ではないと切実に訴えかけるも、信じてもらうこと叶わず沈黙の時は過ぎる。けれど、結局のところ気が弱かったせいもあり、
こうした結果に、満足げな表情を浮かべる
「
「えっ、何のこと? 俺は池に落ちていたのを拾っただけだよ……」
俯く
「はぁ……反省の余地なしって顔をしてるわね。まあいいわ、だけどあの子には後でちゃんと謝っておくのよ」
「はぁぃ……」
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