第38話 似た者同士
手を取り合って、心通わせる二人。大ケヤキの場所から神門を抜けて、境内の中へゆっくりと歩み寄る。その姿はまるで、気心の知れた親友のよう。先ほど出会ったばかりには到底思えず、参拝客から見ても仲の良い兄弟に思えただろう。
そんな風に、お互いのことを知り得た二人。楽しそうに会話を弾ませながら、木陰で待つ友達の元に向かう。ところが、穏やかな雰囲気でいたのは、
徐々に目的の場所へ辿り着く頃には、待たせていた女の子の表情がくっきりと窺えた。その様子は、不貞腐れた態度をしており、不機嫌そうに睨みつける姿。ゆえに、二人が対面した途端、
『――もう、一体どういうこと‼ どんだけ待たせたら気が済むのよ!』
『どんだけって、ほんの数分じゃん』
『数分? まあ、それもそうね。――じゃなくて! 人を待たせたら、何か言うことがあるでしょ!』
『言うこと? それって、自己紹介のこと?』
『自己紹介? ――でもなくて! 私が言ってるのは、ごめんなさいの一言!』
『ああー、はいはい。分かってるって、謝ればいいんでしょ。ごめんごめん』
『ごめんは1回でいいの! ――ったく、笑って
『あのう……それは僕のせいでもあるから……夏くんは悪くないって言うか……』
『――はあ⁉ あなたには関係ないでしょ! っていうか、声が小さくて、何言ってんのか分かんないわ! 男の子ならもっとハッキリ喋んなさいよ!』
良夜は、二人のやり取りが尋常でないと感じたのだろう。自分が悪いのだと弱々しく話しかける。ところが、必死で伝えた言葉も虚しく、
『えっと、だから……ね』
『良夜ありがとう、僕のことなら大丈夫。今から事情をね、
『でも……』
『いいからいいから、これはいつものこと』
良夜は普段の二人を知るはずもない。だからなのか、不安な面持ちで止めに入るも、
『――なんですって‼ いつもとは、どういう意味よ!』
『ああー、だから違うって』
即座に語尾の言葉へ敏感な反応を示す
『なにが違うのよ!』
『そんなことより、とりあえず今日も僕が鬼になるから、さっきの件はこれで勘弁してもらえない?』
『さっきの件? ……って、なんだったかしら? えっと……まあいいわ。
『分かってるって』
我を忘れ、怒り心頭していたからだろう。
もしかしたら、今の言い回しは思惑通りだったに違いない。何故なら、
『――で、どういう状況になったの?』
『んっ、なにが?』
『何がじゃなくて、いろいろと話をしたんでしょ』
『あはは、そうだったね』
『あはは、じゃないわよ。
『そうだっけ?』
『…………えっ?』
確かに、もっともらしい事を言っているようにも思える。しかしながら、
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