[KAC20241]急いで朝練に向かえ!

上谷レイジ

本編

 俺には三分以内にやらなければならないことがあった。

 それは、部室へ向かわなければならないということだ。


 今日は朝練がある日だということに気が付かず、目覚まし時計のアラームを間違ってオフにしてしまった。

 普段朝練がある日は午前五時半に起きて、午前七時半に間に合うように自転車に乗って学校へと向かう。

 しかし、今日目が覚めたのは午前六時半だ。自転車通学だったから良かったけど、これで電車通学だったら目も当てられなかったよなぁ。


「このままだと先輩たちに怒られる! 急がないと!」


 俺は最後のひとっ走りを決め、見事に校舎へとたどり着いた。

 駐輪場に到着したのは午前七時半、ちょうど校門が開く時間だ。

 幸い朝食をパンにしたおかげで、早く済ませることができた。お腹の持ちは良くないけど、急いでいる時はちょうどいい。


「あとひと踏ん張りだ!」


 俺は昇降口から教室に向かい、そこから猛ダッシュで部室へと向かった。

 無論、ジャージに着替えてからだ。


「はぁ、はぁ、はぁ……」


 息を切らせながら、俺はサッカー部の部室へと向かう。

 遅刻したら先輩たちに何を言われるかわからない!

 ……やった、サッカー部の部室だ! 頼む! 間に合ってくれ!


「はぁ、はぁ、はぁ……! おはようございます! 佐藤俊祐、ただいま到着しました!」


 勢いよく部室の扉を開くと、部長はじめとした先輩たちが唖然としていた。


「俊祐、息が切れているけどどうしたんだ?」

「はぁ、はぁ、はぁ……。遅刻するかと思って、猛ダッシュで来ました」

「猛ダッシュって……、お前んちってどこだったっけ?」

「俺の家は田んぼばかりがあるところです」


 そう、俺の家があるところは百万都市であるにもかかわらず、大規模な田んぼが見えるところだ。自転車で走っても余裕で三十分以上はかかる。

 力を鍛えるために自転車通学をしている上にサッカー部で朝練をやっているから大丈夫だろうと思ってかっ飛ばしたけど、今日はさすがに疲れた……。


「お前なぁ、練習前にバテてどうするんだよ! ほら、ポ〇リ飲めよ」


 先輩からポカリを差し出されると、俺は一気に口にした。

 体に染み渡る……!


「ありがとうございます、先輩」

「無茶するなよ、俊祐。これから朝練だ。気合い入れていくぞ!」

「はい!」


 部長の一言で目が覚めた俺は、改めて今日も頑張ろうと気合いを入れた。

 さて、今日も朝練行くぞ!

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